刑務官採用試験は受かりやすい?難易度や難しさ、対策のコツまで徹底解説

刑務官採用試験の難易度
悩んでいる人

刑務官採用試験は受かりやすいって聞いたけど本当?難易度や対策方法が知りたいです。

こんなお悩みを解決できる記事を書きました!

結論からいうと、問題レベルやボーダーライン、倍率から考えれば刑務官は受かりやすいと言えます。

しかし…、簡単に合格できるような試験ではありません。そこは勘違いしないようにしてください。

そこで本記事では、「これから刑務官を目指したい」「受験勉強を始めたばっかり」という高校生や大学生、社会人を対象に、刑務官採用試験の難易度や難しさを解説します。

試験傾向や対策ポイントも紹介しているので、ぜひ参考に受験勉強を始めてみてくださいね。

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刑務官になるには?採用試験の概要を解説

刑務官とは、刑事施設(刑務所や拘置所)の収容者に対し、日常生活の指導、職業訓練指導、悩みごとなどの指導を行うとともに、刑事施設の保安警備に従事する国家公務員のことです。

刑務官になるためには、人事院が実施する「刑務官採用試験」に合格しなければいけません。

合格後は、志望する管轄地域内の刑務所や拘置所などに配属されて、刑務官としての仕事がスタートします。

まずは試験概要を確認しましょう。

年齢制限(受験資格)

区分年齢制限
一般枠1993年4月2日~2005年4月1日までに生まれた人
社会人1982年4月2日~1993年4月1日までに生まれた人
武道1993年4月2日~2005年4月1日までに生まれた人
出典元:2022年度募集要項より作成

社会人での受験も考えれば40歳まで受験できます。

学歴は関係ないので、高卒でも大卒でも大丈夫(受験可)です。

採用はブロック制(地域別)

刑務官採用試験は全国を九つの地域にわけて実施され、採用後は受験した地域内に属する自治体へ配属されます。(試験日は統一)

ブロック採用地域
北海道北海道
東北青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県
関東甲信越静茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 山梨県 新潟県 長野県 静岡県
東海北陸岐阜県 愛知県 三重県 富山県 石川県 福井県
近畿滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県
中国鳥取県 島根県 広島県 岡山県 山口県
四国徳島県 香川県 愛媛県 高知県
九州福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県
沖縄沖縄県
出典:2022年度公式案内より作成(人事院)

地域規模によって採用者数も大きく異なってくるため、志望地域の現状をしっかり把握しておくことが大切です。

なお、刑務官採用試験の採用人数については、以下の記事でまとめています。

採用までの流れ(試験日程)

刑務官採用試験は段階式で行われます。

※一次試験の合格者を対象に二次試験を実施して合格者を決める方法。

受付期間2022年7月19日~28日
一次試験2022年9月18日(日)
一次試験
合格発表
2022年10月12日
二次試験2022年10月20日~26日の間で指定された日
最終合格2022年11月22日
出典:2022年度公式案内より作成(人事院)

試験内容

試験は大きく「筆記試験」と「面接試験」に分類できます。

選考は段階式で行われ、まず一次選考で受験者をふるいにかけ人数を絞ります。その後、一次選考の合格者を対象に二次選考を行い最終合格者を決定するという流れです。

選考試験種目配点比率
一次試験基礎能力試験4/7
作文試験1/7
実技試験
(武道のみ)
加点
二次試験個人面接2/7
体力検査合否判定
身体検査合否判定
※合否判定のみ使用

最終合格するには筆記と面接の両方で点数を取ることが重要なので、いずれかの試験に偏った対策をするのではなく、計画を立ててバランスよく対策しましょう。

合格率

実施年度受験者数合格者数合格率
20222,3541,04544.3%
20212,6201,01938.8%
20203,0621,06934.9%

なお、合格率は地域によって異なります。詳しくは以下の記事でまとめているので、参考にしてください。

刑務官採用試験の難易度は?

刑務官採用試験の難易度・・・は決して高くないです。

理由は以下のとおり。

  • 試験問題は中学〜高校レベル
  • 合格ラインは4~5割程度
  • 倍率は2~3倍

試験問題は中学〜高校1年レベル

公務員試験の問題は、今までに勉強してきた内容が試験範囲です。

なので、高校までにきちんと勉強してきた人からすれば、それほど難しいわけではありません。

たとえば、次はメイン科目の一つである数的推理の問題です。

刑務官の過去問

「速さ」という単元で、中学校1年生で学習するような問題です。

算数、数学が苦手な人は少し悩むかもしれませんが、少し勉強すれば思い出すのではないでしょうか。

たまに大学入試レベルの問題も出ていますが、多くは中学〜高校入試ぐらいの問題です。

ボーダーラインは4割~5割程度

採用者数や地域によって変動しますが、4~5割あれば筆記試験をパスできています。

同じ事務系国家公務員でも裁判所事務官は8割の正答率が必要なので、刑務官のボーダーは低いことがわかりますね。

刑務官採用試験のボーダーラインは以下の記事を参考にしてください。

倍率は2倍~3倍

地域によって差はありますが、最新の倍率は2倍~3倍ぐらいです。

自治体受験者数合格者数倍率
北海道65322.0
東北71411.7
関東4051662.4
東海105472.2
近畿2131201.8
中国88392.3
四国72322.3
九州280773.6
沖縄91713.0
2022年度刑務官Aの結果

この数値の中には、まともに対策していない人も多く含まれているので、実際はもっともっと低いです。

高卒公務員の倍率は10倍を超えることが多いので、数値だけ見れば”刑務官は受かりやすい”と思っても仕方ないですね。

こんな感じで、刑務官採用試験の難易度・・・はそこまでハードじゃありません。

刑務官採用試験に合格するのは難しい

刑務官採用試験の難易度は高くありませんが、決して受かりやすいわけじゃないです。

理由は以下の3つ。

試験科目が多い

刑務官採用試験の問題は高校までにきちんと勉強してきた人からすれば、それほど難しいわけではありません。

それなのに多くの受験者が悩んでいるのは、試験科目が多いからです。なんと21科目もあるんですよね…。

基礎能力試験の科目

分野科目
数的処理数的推理|判断推理|空間把握|資料解釈
文章理解現代文|英文|古文
社会科学政治|経済|社会|倫理
人文科学日本史|世界史|地理|国語|英語
自然科学数学|物理|化学|生物|地学

中学・高校受験でも5~7科目くらいですからね…約3倍はあるのです。

中学校から高校までに一度は学んだことのある科目ばかりだと思いますが、それをもう一回勉強しないといけないので…正直、キツイですね。

頭がいいだけでは合格できない

賢い(頭がいい)だけでは公務員になれません。

あなたがこれまでに経験してきた入学試験(中学・高校入試)や資格試験では、単純な学力だけが問われ、知識を詰め込んでいれば合格が狙えました。

しかし、採用試験の内容は筆記試験だけではありません。作文や面接もあるんですよね…。

『公務員になるための試験=就職試験』でもあるため、公務員としての適性・資質や人間性(コミュニケーション能力)も総合して評価されるのです。

刑務官採用試験の内容はこちら

えもと

単純に筆記の点数だけでは合格できないので、努力がそのまま結果に結びつかない難しさがあります。

モチベーション維持

対策はやることが多いので…まぁ、シンドイです。

合格するために必要な勉強時間は過去のデータから400時間~500時間ほど。1日2時間の勉強を約1年間続けるようなものです。

合格目標「500時間」の勉強計画

1日の勉強時間500時間に到達するまでの日数
2時間250日(約8ヶ月)
3時間166日(約5ヶ月)
4時間125日(約3ヶ月)

実際、合格を目指して勉強を始める人は多いですが、途中で挫折する人も相当多いです。100人いて30〜50人ぐらい、半分はいなくなります。

モチベーションを長期間保ちながら筆記対策も面接対策もする必要があるため、相当な覚悟が求められます。

想像してみてください、周囲が遊んでいる中で自分だけ勉強漬けの毎日、文化祭や部活動の誘いをシャットアウトしながら勉強に集中して高いパフォーマンスを維持しなければならないのです。

えもと

同じ志をもつ仲間を集めたり、合格後の姿を想像したりしてモチベーション維持を図ることが大事!

試験内容が難しいというよりは、対策内容が多く、メンタルのコントロールが大変って感じですね。

刑務官採用試験に落ちないためのコツ

確実に合格する方法はありませんが、少しでも合格率を上げるコツならあります

スキマ時間を有効活用する

始めにこれを伝えておかなければいけません。

公務員試験でとにかく大切なことは、『時間は無限ではない』ということです。

じゃあ具体的にどうやって時間を捻出するの?というと、『スキマ時間を有効活用する』という結論に達します。

  • 通学時間
  • 学校での休み時間
  • 食事の前後
  • 入浴時間
  • 寝る前の10分間 など

全てを使うのは難しくても、自分の生活スタイルに合わせてこの中のいくつかを取り入れるだけでも十分スキマ時間を活用できますよ。

たとえば1回20分のスキマ時間でも、1年で7,300分(約120時間)になります。

これが1日の中で3回(朝、昼、夜)繰り返されるだけで、年間365時間も勉強できることになりますよね。

最終合格までに必要な勉強時間は400~500時間なので、スキマ時間だけでも6~7割ぐらいの勉強ができてしまうのです。

出題傾向を理解してから勉強する

試験内容は幅広いですが、時間の多くを筆記対策に充てなければいけません

基礎能力試験の科目が多いのは説明しましたが、出題範囲も膨大です。なので、点が取れるまで時間がかかりますし、やり方によって差がつきやすいです。

科目・範囲ともに広範な基礎能力試験を攻略するには、出題傾向をきちんと理解することがポイントです。

基礎能力試験の勉強方法や出題傾向は以下の記事で解説しています。

作文を軽視しない

作文は基礎能力試験と違い独学では十分な対策ができません。

独学でできることは、

  • 過去問を見て傾向をつかむ
  • 参考書を読んで『書き方』を学ぶ
  • 時間を計って書く

くらいしかできないんですね。

十分じゃないの?と思ったかもしれませんが、作文は自力で答案を書く練習をしないと書けるようになりません。

そして、実際に書いた答案を学校の先生や予備校講師などに添削してもらうことでしか改善点(テーマのズレや誤字脱字、文法の誤りなど)に気づけないので、まったく十分じゃありません。

たとえるなら、Youtubeでホームランの打ち方を学び、懸命に素振りを重ねてもいきなり実践でホームランが打てないのと同じです。

コーチからアドバイスをもらい修正と検証を繰り返すことで、なんとか打てるようになりますよね。対策を後回しにすればするだけ合格から遠のいていくことは覚えておいてくださいね。

面接対策を試験日の2ヵ月前から始める

最終合格するには、面接試験の評価も必要になってきます。

そのため筆記試験の勉強だけに時間を費やしても最終合格できませんし、今まで面接を受けたことのない初心者が合格基準に達するには、繰り返し練習する必要があるため、かなりの時間が必要です。

すでに面接でA、B評価をもらえる人なら一次試験が終わってからでも十分間に合うかもしれませんが、面接に自信を持てない人がマネすると確実に落ちてしまいます。

面接試験で評価を得るには準備が必要です。長所短所を考えたり、志望動機を考えたり…と、かなり時間がかかりますよ。

使える時間は限られているので、以下の記事を参考にして早めに面接対策もやってくださいね。

まとめ:刑務官は難しいけどやり方次第で合格可能

本記事では、刑務官採用試験の難易度や受かるためのコツを解説しました。

難易度だけで考えれば、刑務官はそんなに難しくないです。試験問題は中学〜高校レベルですし、倍率も3倍程度ですからね。

しかし、合格するのは簡単ではありません。

と、試験内容が難しいというよりは、対策内容が多く、メンタルのコントロールが大変って感じですね。

「これをやれば確実に合格できる」という方法はありませんが、「効率よく対策するために意識するポイント」はあります。

具体的には以下の4つ。

このようなポイントを踏まえて対策できれば短期間でも十分に合格を狙えます!

小難しい話になりましたが、要は、対策は難しいけど効率よく勉強すれば合格は余裕だよ!ってことです。焦る必要はないので、やれることから少しずつやっていきましょう。

この記事が少しでもお役に立てたら幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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この記事を書いた人

公務員試験の指導を12年間やっています。新卒で大手専門予備校に就職→公務員課で5年間勤務、在職中に公務員試験を受験するも不合格→退職→公務員試験の勉強→国立大学法人、政令市、市役所に合格→現在、某大学の職員として7年目。 2018年6月からサイトを運営中。普段はカフェで珈琲飲んでます。

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