【難しい】特別区三類(高卒)の難易度は?試験内容と対策方法

特別区三類の難易度

東京23区を「特別区」と呼びます。特別区は、最先端の技術や最新の情報が行き交い、多様な文化、生活等が展開されている大都市東京の中核を担っています。

特別区とは|特別区人事・厚生事務組合 (tokyo23city.lg.jp)

このような特別区(東京23区)の公務員に高卒でなるには、どうすればいいのでしょうか。

結論を言えば、高校を卒業して特別区(東京23区)の公務員になりたいなら、特別区人事委員会が行う「特別区三類・・採用試験」に合格する必要があります。

本記事では、そんな特別区三類採用試験に関する下記の内容をまとめています。

この記事でわかること
  • 特別区三類採用試験の概要・傾向
  • 特別区三類採用試験の難易度
  • 特別区三類の試験内容

「高校を卒業したら特別区で働きたい」「特別区三類に合格したい」という方は、ぜひ参考にしてください。

タップできる目次

特別区三類(高卒)採用試験の概要

高校を卒業して特別区(東京23区)職員になりたいなら、特別区人事委員会が行う「特別区職員三類・・採用試験」に合格する必要があります。

簡単に概要を紹介します。
*令和5年度(2023年実施)の情報

えもと

他にも、大卒者・・・向けの一類採用や社会人・・・向けの経験者採用などがあるよ!

受験資格(年齢制限)

  1. 平成14年4月2日から平成18年4月1日までに生まれた人
  2. 地方公務員法第16条に該当しない人

1と2を満たしていれば受験できます。

高卒で年齢が22歳を超えていると特別区職員にはなれない?

学歴が高卒で、22歳を超えていても特別区職員になれます。ただし、三類は受験できないので、一類経験者採用での受験となります。

採用人数

全体で156名程度の採用を予定しています。

区ごとの人数は以下のとおり。

千代田区若干名
中央区5名
港区8名
新宿区11名
文京区5名
台東区5名
墨田区若干名
江東区6名
品川区5名
目黒区5名
大田区10名
世田谷区18名
渋谷区
中野区若干名
杉並区5名
豊島区若干名
北区5名
荒川区若干名
板橋区8名
練馬区5名
足立区9名
葛飾区17名
江戸川区18名
人厚組合
競馬組合
清掃組合若干名

試験日程

選考日程
出願受付令和5年6月22日(木)〜7月13日(木)
一次試験令和5年9月10日(日)
合格発表令和5年10月20日(金)
二次試験令和5年11月2日(木)、6日(月)のうち1日
最終合格令和5年11月17日(金)

一次試験では筆記試験、二次試験では口述試験が行われます。

高校・大学入試とは違い、筆記試験のみで良い点数を取っても、口述試験や作文試験で評価を得られなければ合格できません。

試験内容や傾向を把握し、効率よく対策することが重要です。

えもと

余談ですが、東京都庁職員採用試験も同日程で行われるので、両方の受験はできないよ!

実施状況

2022年に実施された令和4年度採用試験の最終結果は5.9倍でした。

  • 志望者数:2,995人
  • 受験者数:2,561人
  • 合格者数:435人

この結果は過去最低となっており、公務員人気の低迷が続いています。

より詳しい実施状況は下記記事でまとめているので、参考にしてください。

特別区三類(高卒)が難しい理由

特別区三類(高卒)に合格するのは、思っている以上に難しいです。

理由は以下のとおり。

  1. 競争試験だから
  2. 試験科目が多いから
  3. 学力だけでは合格できないから

それぞれ解説します。

競争試験だから

特別区職員三類は採用試験は、一定数の採用枠に対して、成績上位者から順に合格が決まる競争試験です。

そのため、受験者全員が合格できるわけではなく、ライバルたちとの競争によって合否が決まります。

また、資格試験(英検や漢検など)であれば合格ラインはある程度決まっていますが、競争試験の合格ラインは、採用人数や受験者数によって変動するんですよね。

特別区が難しい理由①

そのため、どの程度の点数を目指せばよいかが判断しにくく、勉強の方向性を見失いやすいという問題があるのです。

試験科目が多いから

特別区三類の試験科目は5分野19科目もあります。

分野科目
数的処理数的推理|判断推理|空間把握|資料解釈
文章理解現代文|英文
社会科学政治|経済|社会|倫理
人文科学日本史|世界史|地理|国語|英語
自然科学物理|化学|生物|地学
令和4年度の情報

高校・大学入試の約3倍の科目数なので、対策には相当な時間が必要です。そのため、受験者にとっては大変な試験の一つと言えるでしょう。

問題レベルは、中学校から高校までに学んだことのある内容ばかりですが、それをもう一回勉強しないといけないので簡単ではありません。

やみくもに勉強を始めるのではなく、出題傾向を理解して効率よく勉強することがポイントです。

学力だけでは合格できない

特別区三類は、知識や学力だけでなく、公務員としての適性・資質や人間性(コミュニケーション能力)も評価されます。つまり、単純な学力だけでなく、多角的な能力が求められることになります。

これまでの入学試験や資格試験では、知識を詰め込んでいれば合格できたものが、特別区三類では、能力を総合的に評価されるため、単に知識を詰め込んでいるだけでは合格できません。

合格者の決定方法

第1次試験、第2次試験及び受験資格等審査の結果を総合的に判定し、最終合格者を決定します。

つまり、どれだけ筆記試験の点数が高くても、作文や面接で一定の評価を得られないと最終合格に至らない可能性があるということです。

何かの試験に偏った対策をするのではなく、どの試験科目もバランスよく対策しましょう。

えもと

単純に筆記試験の点数を取れば合格できるものではなく、面接・作文などによる人間性が最重視されるため、努力がそのまま結果に結びつかない難しさがあるんですよね。

特別区三類(高卒)の試験内容

特別区三類(高卒)の試験内容は大きく「筆記試験」と「面接試験」に分類できます。

選考は段階式で行われ、まず一次選考で受験者をふるいにかけ人数を絞ります。その後、一次選考の合格者を対象に二次選考を行い最終合格者を決定するという流れです。

特別区三類(高卒)の試験内容は次のとおり。

  • 教養試験
  • 作文試験
  • 適性試験
  • 口述試験

教養試験

試験時間120分
問題数50問
*解答数は45個
レベル高校卒業程度
出題形式五肢択一式
解答方式マークシート
令和4年度の情報

教養試験とは、 計算力や読解力を測る『一般知能』と、今までに勉強してきた基礎学力を測る『一般知識』で構成される筆記試験のことです。

制限時間120分で、50問中45問に解答します。
出題形式は、5つの選択肢から正しい(誤りの)肢を選ぶ「五肢択一式」です。

出題科目

分野科目
数的処理数的推理|判断推理|空間把握|資料解釈
文章理解現代文|英文
社会科学政治|経済|社会|倫理
人文科学日本史|世界史|地理|国語
自然科学物理|化学|生物|地学
令和4年度の情報

このように、中学校から高校までに学んだことのある内容ばかりですが、6年間で習った範囲を短期間で勉強し直さないといけないので簡単ではありません。

また、社会時事(最近、日本や世界で起こった出来事)等に関する問題もあります。そのため、ニュースを見たり、新聞を読んだりして、普段の生活から情報収集をしておきましょう。

出題範囲は広いので、どの分野が多くでるのか、どの分野は苦手なのか、出題傾向を理解したうえで勉強することがポイントです。

出題傾向や勉強方法は以下の記事で詳しく解説しています。

作文試験

試験時間80分
問題数1題
文字数600~1000字
評価基準・内容
・表現
・文字
令和4年度の情報

作文試験は、自分の考えや主張を論理的に説明する文章形式の試験です。

筆記試験では判断できない、論理的思考力や読解力、人間性などを総合的に測ることを目的としています。

評価基準

評価は以下の観点に沿って行われ、最終的にA~Cの三段階で評価。

  • 内容
  • 表現
  • 文字

試験官の主観による要素も含まれるため、丁寧に、きれいに書くことが大切です。

過去のテーマ

5年後になりたい自分とそれに向けて実行していくこと
(令和4年度)

作文は、自分では文章が書けると思っていても、意外に書けなかったり、書けた(気になった)としても課題に対してまったく十分な解答にはならないことはよくあります。

勉強すればしただけ成果が見える筆記試験とは違い、客観的な評価(添削してもらうこと)でしか習熟度がわからないため、なんとも厄介な試験といえるでしょう。

毎年、作文で評価がもらえずに不合格となる受験者は一定数いるので、早めに準備をしてください。

詳しい傾向や過去のテーマはこちらで解説しています。

口述試験(面接)

試験時間30分
面接官3人
形式個人面接
令和4年度の情報

口述試験とは、志望動機や自己アピールなどを問うことで、あなたが特別区(東京23区)の職員として相応ふさわしいかどうかを評価・判断する面接試験のことです。

試験時間は一人30分程度で、一般的な口頭試問(質疑応答)が行われます。

過去の質問

  • 試験までにご飯は食べましたか。
  • 会場までどうやって来ましたか。
  • 3分間で自己PRをしてください。
  • 希望する部署はありますか。
    →希望する部署に入れなかったらどうしますか。
  • 高校で一番頑張ったことは何ですか。
    →アルバイトは学校が許可を出していましたか。
    →アルバイトで何が大変でしたか。
  • 公務員試験の勉強はいつからやっていましたか。
    →学校の勉強と両立は上手くできましたか。
  • 人間関係で苦労したことはありますか。
    →友達と喧嘩した場合はどうやって解消しますか。
  • 苦手な人はどんな人ですか。
    →上司がその苦手な人だったらどうしますか。
  • ストレスはどんな時に感じますか。
    →どうやって発散していますか。
    →それでも発散できないときはどうしますか。

間違いのない回答を目指すことも重要ですが、あまりマニュアルに頼るのではなく、それ以上に自分らしさや公務員への熱意をアピールできるように準備していきましょう。

過去の質問や傾向は下記記事でも詳しく解説しています。

特別区三類(高卒)でよくある質問FAQ

最後に、特別区三類(高卒)でよくある質問に回答します。

過去問はどこで入手できますか?

過去の問題は特別区のHPで公開されています。

解説はありませんが、出題形式やレベルの把握には使えるので見ておきましょう。

また、下記記事でも5年分をまとめているので参考にしてください。

特別区三類(高卒)の難易度まとめ

問題レベルやボーダーラインから考えれば特別区三類(高卒)の難易度は決して高くはありません。

しかし、簡単に合格できるような試験ではありません。そこは勘違いしないようにしてください。

日々の学校や仕事で忙しい中、効率よく試験対策できるかどうかは、選考内容や傾向をどれだけ理解しているかが重要です。

再度、試験内容をまとめます。

  • 教養試験
  • 作文試験
  • 口述試験

対策することは多いので、やみくもに進めるのではなく、傾向を把握してから始めましょう。

今回は以上です。

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