国家一般職とは、各省庁や各地域の出先機関における職員を募集するため、人事院が実施する公務員試験のひとつです。
高校生(高卒者)が国家公務員になるには、この「国家公務員一般職(国家一般職)」に合格しなければなりません。
この採用試験ですが…結論をいうと、難易度は高くないです。
でも、合格するのは簡単ではありません。
本記事では、国家一般職(高卒者試験)に関する下記の情報を紹介します。
- 国家一般職(高卒)の難易度と難しい理由
- 国家一般職(高卒)の概要・傾向
- 国家一般職(高卒)の対策方法
「高校を卒業したら国家公務員を目指したい」「受験勉強を始めたばっかり」という高校生や高校を卒業したばかりの方は参考にしてください。
国家一般職(高卒)の難易度
国家一般職(高卒者試験)の難易度は決して高くないです。
理由は以下のとおり。
- 試験問題は中学〜高校レベル
- 合格ラインは6割程度
- 倍率は3倍程度
試験問題は中学〜高校1年レベル
国家一般職の試験問題は、今までに勉強してきた内容が範囲です。
なので、高校までにきちんと勉強してきた人からすれば、それほど難しいわけではありません。
たとえば、次はメイン科目の一つである数的推理の問題です。
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算数、数学が苦手な人は少し悩むかもしれませんが、少し勉強すれば思い出すのではないでしょうか。
たまに大学入試レベルの問題も出ていますが、多くは中学〜高校入試ぐらいの問題です。
過去問はこちらの記事でまとめています。

ボーダーラインは6割程度
受験年度や採用人数によって変動しますが、ボーダーラインは6割程度です。
同じ公務員試験でも、裁判所事務官は最低8割必要ですし、特別区など地方公務員も7割程度。比較すると国家一般職のボーダーラインは大したことありません。
6割程度の点数であれば、傾向に沿って勉強すれば十分に取れるので、そこまで難度は高くないでしょう。

倍率は3倍〜
地域によって差はありますが、最新の倍率は3倍〜6倍ぐらいです。
地区 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
---|---|---|---|
北海道 | 439 | 178 | 2.5 |
東北 | 721 | 167 | 4.3 |
関東 | 3,994 | 1,387 | 2.9 |
東海北陸 | 533 | 160 | 3.3 |
近畿 | 484 | 144 | 3.4 |
中国 | 363 | 59 | 6.2 |
四国 | 215 | 43 | 5.0 |
九州 | 1,016 | 165 | 6.2 |
沖縄 | 296 | 40 | 7.4 |
この数値の中には、まともに対策していない人も多く含まれているので、実際はもっともっと低いです。
高卒公務員の倍率は10倍を超えることが多いので、国家一般職はかなり低い方に分類されるんですよね。


こんな感じで、国家一般職(高卒者試験)の難易度はそこまでハードじゃありません。
国家一般職(高卒)に合格するのは難しい理由
国家一般職(高卒)の難易度は高くありませんが、決して受かりやすいわけじゃないです。
理由は以下の3つ。
- 競争試験だから
- 試験科目が多いから
- 頭がいいだけでは合格できない
競争試験だから
国家一般職(高卒)は、一定数の採用枠に対して、成績上位者から順に合格が決まる競争試験です。そのため、受験者全員が合格できるわけではなく、ライバルたちとの競争によって合否が決まります。
また、資格試験(英検や漢検など)であれば合格ラインはある程度決まっていますが、競争試験の場合は、採用人数や受験者数によって変動するのです。


そのため、どの程度の点数を目指せばよいかが判断しにくく、努力がそのまま結果につながらない、という難しさがあります。
試験科目が多いから
国家一般職(高卒)の試験科目は5分野21科目あります。
分野 | 科目 |
---|---|
数的処理 | 数的推理|判断推理|空間把握|資料解釈 |
文章理解 | 現代文|英文|古文 |
社会科学 | 政治|経済|社会|倫理 |
人文科学 | 日本史|世界史|地理|国語|英語 |
自然科学 | 数学|物理|化学|生物|地学 |
高校・大学入試の約3倍の科目数なので、対策には相当な時間が必要です。そのため、受験者にとっては大変な試験の一つと言えるでしょう。
問題レベルは、中学校から高校までに学んだことのある内容ばかりですが、それをもう一回勉強しないといけないので簡単ではありません。
やみくもに勉強を始めるのではなく、出題傾向を理解して効率よく勉強することがポイントです。
頭がいいだけでは合格できない
国家一般職(高卒)では、知識や学力だけでなく、公務員・社会人としての適性・資質や人間性(コミュニケーション能力)も評価されます。
つまり、単純な学力だけでなく、多角的な能力が求められることになります。
これまでの入学試験や資格試験では、知識を詰め込んでいれば合格できたものが、国家一般職(高卒)では、能力を総合的に評価されるため、単に知識を詰め込んでいるだけでは合格できないのです。
最終合格者の決定方法
第1次試験合格者のうち、作文試験(事務区分のみ)において基準点以上であり、かつ、人物試験においてA~Cの評価である者について、第1次試験を含む全ての試験種目の標準点を合計した得点に基づいて最終合格者を決定します。
2023年度国家一般職(高卒者試験)の合格者の決定方法
つまり、どれだけ筆記試験の点数が高くても、作文や面接で一定の評価を得られないと最終合格に至らない可能性があるということ。
何かの試験に偏った対策をするのではなく、どの試験科目もバランスよく対策しましょう。
国家一般職(高卒)の概要
ここでは令和5年度国家一般職(高卒)の概要を紹介します。
- 受験資格
- 採用システム
- 採用人数
- 選考スケジュール
- 試験内容
年齢制限(受験資格)
20歳まで受験できます。
採用システム
国家一般職の採用システムは全国を九つのブロックにわけて実施します。
ブロック | 採用地域 |
---|---|
北海道 | 北海道 |
東北 | 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県 |
関東甲信越 | 茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 山梨県 新潟県 長野県 |
東海北陸 | 岐阜県 静岡県 愛知県 三重県 富山県 石川県 福井県 |
近畿 | 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 |
中国 | 鳥取県 島根県 広島県 岡山県 山口県 |
四国 | 徳島県 香川県 愛媛県 高知県 |
九州 | 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 |
沖縄 | 沖縄県 |
採用後は受験した地域内に属する自治体へ配属されます。
どのブロックも試験日は同じですが、地域規模によって採用者数も大きく異なってくるため志望地域の現状をしっかり把握しておくことが大切です。
採用人数
区分・地域 | 2023 | 2022 | 2021 | |
---|---|---|---|---|
事務 | 北海道 | 80 | 60 | 55 |
東北 | 70 | 80 | 70 | |
関東 | 750 | 730 | 680 | |
東海北陸 | 105 | 120 | 70 | |
近畿 | 85 | 100 | 90 | |
中国 | 45 | 35 | 30 | |
四国 | 20 | 20 | 20 | |
九州 | 110 | 95 | 95 | |
沖縄 | 25 | 5 | 5 | |
技術 | 北海道 | 70 | 70 | 80 |
東北 | 80 | 95 | 50 | |
関東 | 150 | 160 | 135 | |
東海北陸 | 60 | 60 | 30 | |
近畿 | 35 | 30 | 35 | |
中国 | 30 | 20 | 20 | |
四国 | 30 | 20 | 15 | |
九州 | 95 | 80 | 50 | |
沖縄 | 15 | 5 | 15 | |
農業土木 | 70 | 80 | 40 | |
林業 | 30 | 20 | 30 |



採用人数は2023年5月8日現在の予定です。変動する場合があります。
選考スケジュール
受付期間 | 2023年6月19日(月)〜28日(水) |
一次試験 | 2023年9月3日(日) |
一次試験 合格発表 | 2023年10月5日(木) *9:00〜 |
二次試験 | 2023年10月11日(水)~20日(金)の間で指定された日 |
最終合格 | 2023年11月14日(火) |
試験内容
選考 | 試験種目 | 配点比率 |
---|---|---|
一次試験 | 基礎能力試験 | 4/9 |
適性試験 | 2/9 | |
作文試験 | 1/9 | |
二次試験 | 個人面接 | 2/9 |
国家一般職は、国家公務員になるための就職試験です。そのため、筆記試験だけでなく、人物試験も実施されます。
筆記試験のみで良い点数を取っても、口述試験や作文試験で評価を得られなければ合格できません。試験内容や傾向を把握し、効率よく対策することが重要です。
試験内容の詳細はこちらの記事で解説しています。


国家一般職(高卒)の合格に向けた対策のコツ
国家一般職(高卒)に合格するには、しっかりとした対策が必要です。
これから対策を始めるためのコツを4つ紹介します。
スキマ時間を有効活用する
始めにこれを伝えておかなければいけません。
公務員試験でとにかく大切なことは、『時間は無限ではない』ということです。
じゃあ具体的にどうやって時間を捻出するの?というと、『スキマ時間を有効活用する』という結論に達します。
- 通学時間
- 学校での休み時間
- 食事の前後
- 入浴時間
- 寝る前の10分間 など
全てを使うのは難しくても、自分の生活スタイルに合わせてこの中のいくつかを取り入れるだけでも十分スキマ時間を活用できますよ。
これが1日の中で3回(朝、昼、夜)繰り返されるだけで、年間365時間も勉強できることになりますよね。
最終合格までに必要な勉強時間は500~600時間なので、スキマ時間だけでも6~7割ぐらいの勉強ができてしまうのです。
出題傾向を理解してから勉強する
数ある試験の中でも、基礎能力試験は厄介な試験科目の一つです。
5分野21科目から出題があり、範囲も広いため、やみくもに勉強を進めると相当な時間がかかってしまいます。



僕自身、最初から最後まで勉強して大変なことになりましたからね…。
まずは、各科目の出題傾向を理解し、必要な科目から重点的に勉強することがポイントです。
具体的な科目や出題傾向については、こちらの記事で詳しく解説しています。


作文を軽視しない
作文は基礎能力試験と違い独学では十分な対策ができません。
実際に書いた答案を学校の先生や予備校講師などに添削してもらうことでしか改善点(テーマのズレや誤字脱字、文法の誤りなど)に気づけないので、上達具合を感じにくいです。
作文試験の対策は、過去問題に取り組むことが一番効果的。また、日常的に読書をすることで、語彙力を増やしたり、表現力を高めたりすることもできます。
まずはこちらの記事で過去のテーマや傾向を把握してから準備を始めましょう。


面接対策を試験日の2ヵ月前から始める
口述試験(個別面接)では、公務員になりたい志望動機や過去の経験、今後のキャリアプランなど、あなたに関する質問が多く問われます。
対策としては、まずは自己分析を行い、自分の長所や短所を把握することが重要です。仕事内容を調べたり、模擬面接を受けて話し方や表現力を確認したりと、面接対策は、とにかくやることが多いんですよね。
また、繰り返しになりますが、最終合格するには面接試験の結果が必要です。なので、筆記試験の勉強だけやっていても合格できません。
面接力をある程度のレベルにもっていくには時間がかかるので、早めに準備を始めることがポイントです。
なお、面接試験の傾向や質問内容はこちらで詳しくまとめています。ぜひ、参考にしてください。


以上のように、国家一般職(高卒)に合格するためには、効率的な勉強方法を取り入れると同時に、作文や面接にも時間をかけて取り組むことが大切です。
国家一般職(高卒)に受かりたいなら戦略が大切!
難易度だけで考えれば、国家一般職(高卒)はそんなに難しくないです。
試験問題は中学〜高校レベルですし、倍率も3倍程度ですからね。
しかし、単純に筆記試験の点数を取れば合格できるものではなく、面接・作文などによる人間性が最重視されるため、努力がそのまま結果に結びつかない難しさがあるんですよね。
適当に勉強を進めるのではなく、試験内容や傾向ををきちん理解してから効率よく行うことが大切です。
本サイトでは、国家一般職(高卒者試験)攻略に必要な情報を多く配信しています。
ぜひ、参考にして対策を始めてくださいね。