高校生(高卒者)・大学生(大卒者)・社会人が東京消防庁の消防官になるには、公務員試験のひとつ「東京消防庁消防官一類〜三類採用試験」に合格しなければなりません。
この採用試験ですが…結論をいうと、難易度は高くないです。
でも、合格するのは簡単ではありません。
本記事では、東京消防庁消防官採用試験に関する下記の情報を紹介します。
- 東京消防庁採用の難易度
- 東京消防庁が難しい理由
- 東京消防庁に合格するための対策方法
「これから東京消防庁消防官を目指したい」「受験勉強を始めたばっかり」という高校生や大学生、社会人の方は参考にしてください。
※東京消防庁の概要や試験内容は、「【一類・三類】東京消防庁採用の試験内容と傾向【一次・二次試験】」で解説しています。
東京消防庁採用試験の難易度
東京消防庁採用試験の難易度は決して高くないです。
理由は以下のとおり。
- 試験問題は中学校から高校1年レベル
- ボーダーは6割程度
- 倍率は低下傾向
試験問題は中学から高校1年レベル
東京消防庁の問題は、あなたが今までに学んだ内容から出題されます。
なので、高校までにきちんと勉強してきた人からすれば、それほど難しいわけではありません。
たとえば、次はメイン科目の一つである数的推理の問題です。
-1.png)
「速さ」という単元で、中学校1年生で学習する内容です。
算数や数学が苦手な人でも、少し勉強すれば思い出せるのではないでしょうか。
たまに大学入試レベルの問題も出ていますが、多くは中学〜高校入試レベルの問題です。
ボーダーラインは6割程度
採用者数や区分によって変動しますが、6〜7割程度の点数が取れれば筆記試験をパスできています。
ボーダーラインが8~9割必要なら高難度な試験だと思いますが、6割程度なら傾向に沿って勉強すれば十分に取れる点数です。
倍率は低下傾向
令和4年度(2022年実施)の最終倍率は全体で6.6倍でした。
選考区分 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
---|---|---|---|
一類 (第1回) | 3,356 | 364 | 9.2 |
一類 (第2回) | 1,252 | 187 | 6.7 |
二類 | 1,032 | 292 | 3.5 |
三類 | 2,742 | 428 | 6.4 |
合計 | 8,382 | 1271 | 6.6 |
東京消防庁の採用試験は、全国から受験者が集まるため倍率は高めです。しかし、近年は受験者数の減少、採用人数の増加に伴い低下傾向にあるんですよね。
また、この数値の中には、まともに対策していない人も多く含まれているので、実際はもっともっと低いです。
他の公務員試験に比べれば倍率は高い方ですが、10倍を超える試験がたくさんあることを考えれば、合格できない数値ではないと言えるでしょう。

こんな感じで、東京消防庁消防官の難易度はそこまでハードじゃありません。
東京消防庁採用試験に合格するのは難しい
東京消防庁採用試験の難易度は高くありませんが、決して受かりやすいわけじゃないです。
理由は以下の3つ。
- 競争試験だから
- 試験科目が多いから
- 圧倒的な人物重視だから
競争試験だから
東京消防庁の採用試験は、一定数の採用枠に対して、成績上位者から順に合格が決まる競争試験です。
そのため、受験者全員が合格できるわけではなく、ライバルたちとの競争によって合否が決まります。
また、資格試験(英検や漢検など)であれば合格ラインはある程度決まっていますが、東京消防庁の合格ラインは、採用人数や受験者数によって変動するんですよね。


そのため、どの程度の点数を目指せばよいかが判断しにくく、勉強の方向性を見失いやすいという問題があるのです。
試験科目が多いから
東京消防庁の試験科目は5分野18科目もあります。
分野 | 科目 |
---|---|
数的処理 | 数的推理|判断推理|空間把握|資料解釈 |
文章理解 | 現代文|英文 |
社会科学 | 政治|経済|社会時事 |
人文科学 | 日本史|世界史|地理|国語|英語 |
自然科学 | 数学|物理|化学|生物 |
高校・大学入試の約3倍の科目数なので、対策には相当な時間が必要です。そのため、受験者にとっては大変な試験の一つと言えるでしょう。
問題レベルは、中学校から高校までに学んだことのある内容ばかりですが、それをもう一回勉強しないといけないので簡単ではありません。
やみくもに勉強を始めるのではなく、出題傾向を理解して効率よく勉強することがポイントです。
人物重視だから
東京消防庁の採用試験では、知識や学力だけでなく、消防官としての適性・資質や人間性(コミュニケーション能力)も評価されます。
つまり、単純な学力だけでなく、多角的な能力が求められることになります。
これまでの入学試験や資格試験では、知識を詰め込んでいれば合格できたものが、東京消防庁採用試験では、能力を総合的に評価されるため、単に知識を詰め込んでいるだけでは合格できないのです。
合格者の決定方法
- 一次試験では、教養試験の成績が一定点(3割)に達しない場合は不合格となります。
- 最終合格者は、一次試験、二次試験及び受験資格の確認結果を総合的に判定して決定する。
つまり、どれだけ筆記試験の点数が高くても、論作文や面接で一定の評価を得られないと最終合格に至らない可能性があるということです。
何かの試験に偏った対策をするのではなく、どの試験科目もバランスよく対策しましょう。



単純に筆記試験の点数を取れば合格できるものではなく、面接・論作文などによる人間性が最重視されるため、努力がそのまま結果に結びつかない難しさがあるんですよね。
東京消防庁採用試験に受かるための対策
東京消防庁消防官採用試験に合格するには、しっかりとした対策が必要です。
これから対策を始めるためのポイントを紹介します。
スキマ時間を有効活用する
始めにこれを伝えておかなければいけません。
公務員試験でとにかく大切なことは、『時間は無限ではない』ということです。
じゃあ具体的にどうやって時間を捻出するの?というと、『スキマ時間を有効活用する』という結論に達します。
- 通学時間
- 学校での休み時間
- 食事の前後
- 入浴時間
- 寝る前の10分間 など
全てを使うのは難しくても、自分の生活スタイルに合わせてこの中のいくつかを取り入れるだけでも十分スキマ時間を活用できますよ。
これが1日の中で3回(朝、昼、夜)繰り返されるだけで、年間365時間も勉強できることになりますよね。
最終合格までに必要な勉強時間は500~600時間なので、スキマ時間だけでも6~7割ぐらいの勉強ができてしまうのです。
教養試験(筆記)は効率よく勉強する
数ある試験の中でも、教養試験(筆記)は厄介な試験科目の一つです。
5分野18科目から出題があり、範囲も広いため、やみくもに勉強を進めると相当な時間がかかってしまいます。



僕自身、最初から最後まで勉強して大変なことになりましたからね…。
まずは、各科目の出題傾向を理解し、必要な科目から重点的に勉強することがポイントです。
【一類・三類】東京消防庁の勉強法!教養試験の科目と出題傾向」で解説しています。
教養試験の出題傾向や勉強方法は、「論作文対策を後回しにしない
論作文は、公務員として必要とされる表現力や思考力を評価するもので、最終合格するには対策が必要です。
論作文試験の対策は、過去問題に取り組むことが一番効果的。また、日常的に読書をすることで、語彙力を増やしたり、表現力を高めたりすることもできます。
過去のテーマや対策方法は、「東京消防庁採用の論文・作文とは?傾向と過去のテーマ」で解説しています。
早めに面接対策の準備を始める
口述試験(個別面接)では、消防官になりたい志望動機や過去の経験、今後のキャリアプランなど、あなたに関する質問が多く問われます。
対策としては、まずは自己分析を行い、自分の長所や短所を把握することが重要です。仕事内容を調べたり、模擬面接を受けて話し方や表現力を確認したりと、面接対策は、とにかくやることが多いです。
また、繰り返しになりますが、最終合格するには面接試験の結果が必要です。なので、筆記試験の勉強だけやっていても合格できません。それなりに面接練習もする必要があるのです。
面接力をある程度のレベルにもっていくには時間がかかるので、早めに準備を始めることがポイントです。
面接試験の傾向や質問内容は、「東京消防庁採用の面接対策!過去の質問や落ちる人の特徴を解説」でまとめています。
以上のように、東京消防庁に合格するためには、効率的な勉強方法を取り入れると同時に、論作文や面接にも時間をかけて取り組むことが大切です。
東京消防庁消防官になるには戦略が必要
本記事では、東京消防庁消防官採用試験の難易度や受かるためのコツを解説しました。
難易度だけで考えれば、東京消防庁はそんなに難しくないです。試験問題は中学〜高校レベルですし、倍率も4倍程度ですからね。
しかし、合格するのは簡単ではありません。
「これをやれば確実に合格できる」という方法はありませんが、「効率よく対策するために意識するポイント」はあります。
具体的には以下の4つ。
このようなポイントを踏まえて対策できれば短期間でも十分に合格を狙えます。適当に勉強を進めるのではなく、試験内容や傾向ををきちん理解してから効率よく行いましょう。
この記事が少しでもお役に立てたら幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!