海上保安官採用(大卒)の勉強法!基礎能力試験科目と出題傾向

海上保安官の基礎能力試験

海上保安官採用試験(大卒程度)の一次試験で実施される基礎能力試験。

試験科目・範囲が膨大なので、「何から勉強すればいいの?」と悩んでいるのではないでしょうか。

本記事では、海上保安官採用試験(大卒程度)の基礎能力試験に関する下記内容を解説します。

この記事でわかること
  • 基礎能力試験の概要
  • 基礎能力試験の科目
  • 基礎能力試験の問題例
  • 基礎能力試験の出題傾向
  • 基礎能力試験の勉強法

「基礎能力試験はどんな科目・傾向なのか」「基礎能力試験の効率的な勉強方法が知りたい」という方は、ぜひ参考にしてください。

試験の概要を知ることは、合格への第一歩。まずは、基礎能力試験がどんなものか、大まかにつかんでいきましょう。

※その他、海上保安官採用試験の情報は「対策ガイド2024|海上保安官採用試験(大卒程度)の内容と傾向」でまとめています。

タップできる目次

【概要】海上保安官採用試験の基礎能力試験とは

基礎能力試験は、一次試験で行われる筆記試験です。

令和6年度から試験内容が一部変更になります!

試験時間140分→110分
問題数40問→30問
出題形式択一式
レベル大学卒業程度
出題科目16科目→10科目
配点比率$$\frac{2}{12}$$
新旧の試験情報

受験者の思考力や判断力を測る試験のため、速読・速答が求められれます。

単純計算すると、1問にかけられる時間はわずか3分強。マークシートへの記入や見直しの時間も考えると、テンポよく解答していくことが必要です。

実際に、時間が足りずに問題を解ききれない人は少なくありません。本番での時間配分を考えながら事前に過去問題集で練習しておくなど、十分な対策を取りましょう。

えもと

僕は最初に一般知識を1問1分かけずに片付けて、残った時間で一般知能をじっくり考えるという戦略をとっていましたよ!

海上保安官採用試験 基礎能力試験の出題科目

基礎能力試験は、 計算力や読解力を測る『一般知能』と、今までに勉強してきた基礎学力を測る『一般知識』で構成されています。

令和6年度から出題数を削除するなど試験問題の出題を見直します。

海上保安官採用(大卒)の試験科目

科目ごとの特徴を解説します。

数的処理

思考力や判断力を測る領域で、次の4科目から出題されます。

  • 数的推理
  • 判断推理(空間把握を含む)
  • 資料解釈

問題例

海上保安官採用の問題例(数的推理)

数学的要素が強いため苦手とする受験者は多いです。しかし基礎能力試験のなかで問題数が最も多く、40問のうち16問30問のうち14問出題されます

そのため、数的処理でどれだけ得点できるかどうかが合否に大きく影響すると思ってください。

対策法は、同じ問題を繰り返し解きながらパターンを覚えることです。受験者に定評のある「畑中敦子シリーズ」を駆使しながら練習しましょう。

文章理解

読解力を測る領域で、次の2科目から出題されます。

  • 現代文
  • 英文

英文は慣れるまでに時間が必要ですが、現代文は対策なしでも正解することは可能です。

問題数はそこそこ多く(40問中11問30問中10問)、正解できれば他科目の負担を減らせるので、得点源にできるといいですね。

ガッツリやる科目ではないため、1日1問〜2問をコンスタントに解き、文章を読むことに慣れておきましょう。

社会・人文・自然科学に関する時事

令和6年度からは、従来の一般知識科目(政治経済や歴史、理科数学など)に代えて、時事問題が出題されます。

出題例

海上保安官採用の試験問題(社会科学)

問題数は少ない(恐らく4~5問)ですが、普段からニュースや新聞などを読んで情報収集をしておけば解ける問題は多いはず。

速攻の時事」も変更して使いながら一気に仕上げましょう。

情報

令和6年度から新しく追加される科目です。

2022年4月から高校の授業で情報1が必修科目になったことや、すでに始まっているAI時代を踏まえての出題だと思います。

  1. 情報社会の問題解決
  2. コミュニケーションと情報デザイン
  3. コンピュータとプログラミング
  4. 情報通信ネットワークとデータの活用

こういった分野から出題が予想されます。

問題例

海上保安官採用の問題(情報)
海上保安官採用の問題(情報)

正直、これといった参考書や問題集がないため対策不要です。

何をやっていいかわからない1問に時間をかけるより、数的や判断に時間をかけた方が得策といえるでしょう。

以上が、海上保安官採用試験の出題科目です。たくさんあるので、早めに準備をはじめましょう。

実際の過去問(問題と解答)は、「【大卒】海上保安官採用試験の過去問と使い方【目的も解説】」でまとめています。

海上保安官採用試験 基礎能力試験の出題傾向

基礎能力試験の科目は多いですが、問題数は科目によって異なります。

次の科目別出題数一覧を参考にして、どの科目から手をつけるのか考えてみましょう。

科目別出題数一覧

実施年従来
(令和5年)
新規
(令和6年)
数的推理77
判断推理43
空間把握21
資料解釈33
現代文65
英文55
政治1時事問題
5
経済1
社会4
日本史1
世界史1
地理1
思想1
物理1
化学1
地学1
情報1

※上記の科目別出題数は僕自身の解釈であり、公式発表されたものではありません。

令和6年度から内容が微妙に変化しますが、まずは出題数の多い数的推理や判断推理から勉強を始めるといいでしょう。

なお、過去10年間の頻出分野を科目別にまとめた一覧を次の記事で公開しています。

えもと

上記の記事を読めば「どこから勉強すればいいの?」という悩みを即解決できるので、ぜひ参考にしてください。

海上保安官採用試験 基礎能力試験の勉強法

海上保安官の試験科目16科目10科目もあるため、限られた時間のなかで全科目を勉強するのは難しいです。

以下のポイントを意識して効率よく対策しましょう。

  • 出題数の多い科目から勉強
  • 頻出分野から着手
  • 復習メインでインプット&アウトプット

出題数の多い科目から勉強

課題論文試験などの結果も影響しますが5割がボーダーラインです。なので、40問中20問30問中15問くらい正解できれば一次試験をクリアできます

海上保安官(大卒)のボーダーラインは何割?合格点を取るポイント

そう考えたときに、出題数の多い科目が重要になるとわかるはず。出題数の多い科目で得点できなければ、18問に達するのは難しくなりますからね。

上記で紹介した科目別出題数一覧を参考に、まずは数的処理を優先的に勉強するといいでしょう。これらの科目だけで全体の約5割を占めています。

  • 数的推理:7問
  • 判断推理:4問
  • 資料解釈:3問

合計:14問 / 30問中(46.0%)

ここで点が取れなければ6割に達することは難しいです。気合を入れて取り組みましょう。

出題数が少ない科目に時間をかけても総合点は上がりません。すべてを勉強して中途半端になるよりも、まずは出題数の多いかつ勉強できる科目を確実に正解することが大切です。

頻出分野から着手

科目によって出題数に大きな違いがあるだけでなく、科目内においても頻出分野とそうでないものがあります

たとえば、判断推理の中には空間把握という平面図形や立体図形に関する出題があります。

捨て科目にする人は多いのですが、次の表を見てわかるように平面図形はよく出ているので着手した方がいいです。

海上保安官採用試験の出題傾向
本試験問題より作成

このような出題範囲を知る(過去問分析する)のは簡単ではありませんが、出ない分野をどれだけ勉強しても0点なので、メンドーですがやりましょう!

なお、過去10年間の頻出分野を科目別にまとめた一覧を次の記事で公開しています。手っ取り早く傾向が知りたい方は参考にしてください。

復習メインでインプット&アウトプット

また、勉強において重要なのは先に進むことよりもどれだけ復習をしたかということです。

復習するタイミングですが、僕は勉強した箇所は3日連続で見るというルールで覚えていきました。要するにその日に解いた問題は短いスパンで3回見るというものです。

1日目問題1〜10をやる
2日目問題1〜10を見直して、問題11〜20をやる
3日目問題1〜20を見直して、問題21〜30をやる…

とくに重要なのが翌日の復習

勉強した次の日に復習しないだけで一気に知識の定着が悪くなります。記憶の法則で有名なエビングハウスの忘却曲線でも人間の記憶力は翌日にガタ落ちすることが立証されていますからね。

最初のうちはけっこうシンドイですが、1カ月ほど続けてみれば結果が見えてくるので、反復練習を意識して勉強していきましょう。

海上保安官採用試験 基礎能力試験でよくある質問FAQ

最後に、よく相談される内容に回答します。

  • オススメの参考書はありますか?
  • 過去問はどこで入手できますか?
  • ボーダーラインは何割ですか?

Q1.オススメの参考書はありますか?

  • スーパー過去問ゼミ
  • ダイレクトナビ
  • (畑中敦子シリーズ)

この2冊+1をやれば十分です。

スーパー過去問ゼミ

実務教育出版が監修している”上級者向け”の参考書です。

要点が絞られており問題+解説という構成で勉強しやすい。

情報量はやや少なめなので、ある程度知識のある方や一通り勉強を終えた方には最適ですが、まったくの初心者がこれ1冊だけで試験に臨むのはリスクが高いかもです。

ダイレクトナビ

実務教育出版が監修している”初〜上級者向け”の過去問題集です。

選択肢中の誤りを赤字で修正しながら覚える「正文化」がすでに施されており、すぐに重要箇所をインプットできます。

付属の赤シートを使えば即アウトプットもできるの一石二鳥の過去問題集です。

編集:資格試験研究会
¥1,430 (2023/08/29 16:41時点 | Amazon調べ)

畑中敦子シリーズ

理系科目が苦手な人は取り組む価値のあるテキストです。

数的推理や判断推理、資料解釈について最もスタンダードな問題からやや応用レベルの問題まで、段階的にマスターできるように構成しております。

数学が不得意な方でも、解法パターンやテクニックを覚えることで、得意分野にすることは十分可能がコンセプト。

初めは解説を読んで解法をマスターし、それから自力で解けるようになるまで、繰り返し、手を動かして問題を解いてみてください!

Q2.過去問はどこで入手できますか?

過去の試験問題を入手したい方は、人事院情報公開制度利用のご案内を確認のうえお問い合わせ下さい。期間はかかりますが、情報公開法の手続きをとり入手できます。

また、「【過去問】海上保安大学校の入試問題と解答【使い方と目的も紹介】」でも問題と解答をまとめているので、参考にしてください。

Q3.ボーダーラインは何割ですか?

6割あれば十分合格できます。

ボーダーラインは年度によって変動するため一定ではありませんが、例年6割前後で推移しています。なので、最低6割を目安に6割〜7割取れるように準備してください。

出題範囲がわかれば合格点は取れる

海上保安官採用試験(大卒程度)の基礎能力試験は、高校までにきちんと勉強してきた人からすればそれほど難しいわけではありません。

それなのに多くの受験者が悩んでいるのは、試験科目・範囲が膨大だからです。

事実、「科目が多くて何から勉強すればいいか分からない」という相談・お問合せが相当多いんですよね。

基礎能力試験を効率よく勉強するには、出題範囲の理解(=過去問分析)がとても重要です。必要な科目・分野に沿って勉強すれば、これまでよりずっとラクに合格点を超えるようになると僕は考えます。

合格点は6割程度です。そんなに高くありません。なので、闇雲に無駄な勉強をするのではなく、過去の出題傾向を軸に勉強してください。

まずは科目ごとの出題範囲を理解する。
そこから始めていきましょう!

なお、過去10年間の頻出分野を科目別にまとめた一覧を次の記事で公開しています。

タップできる目次