
国立大学法人等職員採用試験の難易度はどれくらいなの?難しいって聞くけど……。どうやって対策すればいいのか教えてほしいです。
こんな疑問を解決します。
- 国立大学職員の難易度はどれくらい?
- 国立大学職員の採用試験は難しい?
- 国立大学職員の採用試験に落ちないために必要なこと
国立大学法人の職員採用試験は「難しい」と思っている人は多いです。そのため、試験対策をはじめる前から怖気づいている人もいるでしょう。

結論から先にいうと、国立大学法人等職員採用試験は難しいです。
とはいえ、試験内容や傾向をきちんとリサーチしたうえで対策していけば、独学でも十分に合格できます。
今回は、国立大学法人等職員採用試験が難しい理由から、合格に向けた対策の始め方について解説していきます。
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【基礎知識】国立大学法人等職員採用試験とは?
国立大学法人等職員採用試験とは、国立大学をはじめ、大学共同利用機関や国立高等専門学校を含む一部の独立行政法人と放送大学の職員候補者を選抜する試験です。
全国7つの地区で試験を実施
試験は全国7つの地区(北海道、東北、関東甲信越、東海・北陸、近畿、中国・四国、九州)に分けて行われ、一次試験に合格した人は点数が高い順に『採用候補者リスト』に登録されます。二次試験は大学・機関ごとに独自で選考を行い、「採用候補者リスト」を参考に合格者を決定するという流れ。
なお、一次試験は全地区同じ日に実施されますが、二次試験以降の詳細は、一次試験合格発表後に行われる説明会などで大学ごとに公表されます。したがって、一次試験に合格しても積極的に行動しなければ二次選考を受けれないので注意が必要です。

要するに大学共通入試テスト(旧センター試験)のような感じですね。一次は全員同じ、二次は希望する大学・期間を受験する。
主な採用大学(機関)
地区 | 主な採用期間 |
---|---|
北海道 | 北海道大学、北海道教育大学、室蘭工業大学、小樽商科大学、帯広畜産大学、旭川医科大学、北見工業大学 |
東北 | 弘前大学、岩手大学、東北大学、宮城教育大学、秋田大学、山形大学、福島大学 |
関東甲信越 | 茨城大学、筑波大学、筑波技術大学、宇都宮大学、群馬大学、埼玉大学、千葉大学、東京大学、東京医科歯科大学、東京外国語大学、東京学芸大学、東京農工大学、東京藝術大学、東京工業大学、東京海洋大学、お茶の水女子大学、電気通信大学、一橋大学、政策研究大学院大学、横浜国立大学、総合研究大学院大学、新潟大学、長岡技術科学大学、上越教育大学、山梨大学、信州大学 |
東海北陸 | 富山大学、金沢大学、北陸先端科学技術大学院大学、福井大学、岐阜大学、静岡大学、浜松医科大学、名古屋大学、愛知教育大学、名古屋工業大学、豊橋技術科学大学、三重大学 |
近畿 | 滋賀大学、滋賀医科大学、京都大学、京都教育大学、京都工芸繊維大学、大阪大学、大阪教育大学、兵庫教育大学、神戸大学、奈良教育大学、奈良女子大学、奈良先端科学技術大学院大学、和歌山大学 |
中国四国 | 鳥取大学、島根大学、岡山大学、広島大学、山口大学、徳島大学、鳴門教育大学、香川大学、愛媛大学、高知大学 |
九州 | 福岡教育大学、九州大学、九州工業大学、佐賀大学、長崎大学、熊本大学、大分大学、宮崎大学、鹿児島大学、鹿屋体育大学、琉球大学 |
補足ですが、地域を跨いでの受験はできません。ですので、自分が働きたいと思う地域を受験してください。

東京大学の職員になりたいと思ったら関東甲信越を受験しないといけません。近畿地域で受験しても意味がないってことです。
国立大学法人等職員採用試験の難易度はどれくらい?
一般的に「公務員試験は難しい」といわれることが少なくありません。これから国立大学職員採用試験を受験するつもりなら、本当の難しさを知っておきたいところですよね。
結論からいえば、国立大学法人等職員採用試験の難度が高いのは事実です。合格率を見ても10人に7人は落ちているので、適当に試験を受けても合格はできないでしょう。
試験内容は、思考力・判断力を測るような計算・読解問題から、高校までに学んだ知識まで出題されるため、何も対策しなければ問題の意味も十分に理解できない可能性が高いといえます。
とはいえ、あくまでも「基本」についての試験なので、必要以上に恐れることはありません。初心者でもしっかり勉強をしていれば合格できます。ボーダーラインも概ね6〜7割でパスできていることから、本人が十分な努力をできさえすれば、独学でも十分に合格できる難易度です。
合格率=難易度ではない
10人に7人は落ちると聞いて、「やっぱりやめようかな……。」、「自分には無理かも……。」と少しショックを受けた方もいるかもしれません。
しかし、合格率はあくまでもデータであって、難易度とは直接的には関係がありません。
たとえば、東京大学と偏差値50の大学を受験するとして、どちらも合格率50%だったら難易度は同じでしょうか?東京大学の合格率80%でも簡単とは思わないですよね。
また、受験者の中にはまともに対策すらしていない本気度の低い人も多く含まれています。ですので、実際の合格率はもっと高くなります。
したがって、合格率は参考値として知っておくぐらいに留めておけば大丈夫です。
では、なぜ難しいとされるのでしょうか?
関連記事:【受かりやすいのは?】国立大学職員採用試験の倍率推移を地域別に解説
国立大学法人等職員採用試験はなぜ難しいのか?
公務員試験は就職試験であるため今までの高校・大学受験や資格試験とは別物です。そのため初心者で知識がない人ほど難しいと感じるでしょう。
しかし、国立大学職員の試験内容は明確で、出題科目もわかっています。それにも関わらず、難しいと感じてしまうのはなぜなのでしょうか?
主な理由は以下の3つ。
- 競争試験でチャンスが1回しかない
- 合格するのに多くの勉強時間が必要
- 試験科目・範囲が膨大すぎる
競争試験でチャンスが1回しかない
一つ目の理由は、国立大学法人等職員採用試験は競争試験であること。
競争試験というのは、採用人数が決まっていて、その人数に達するまで成績上位者から順に合格させる試験のことを指します。
これに対して、簿記や英検のような資格試験の場合は、70点以上といった合格基準が設定されていて、基本的には基準点を超えた人は全員合格することができます。
競争試験である国立大学法人等職員採用試験の場合、実力的には合格してもおかしくない人でも、ライバルたちが自分よりも成績が良ければ合格することができません。

要するにめちゃくちゃ努力して9割取れても、周りが9.5割ばかりなら落ちるってことだね…。
また、資格試験の中には、年に数回実施されるものもありますが、国立大学職員の選考試験は基本的には年に一度しか実施されません。教員採用試験のような一次合格者を対象とした筆記試験の免除制も採用されていないので、不合格になれば、翌年は一から試験を受け直すことになります。
合格できる人数が決まっていて、受験チャンスも年に1回しかないので早い時期から行動することが重要です。
多くの勉強時間が必要
二つ目の理由は、合格までに多くの勉強時間が必要なことです。
試験といっても筆記試験の他に、二次試験対策(面接など)まで対策しなければいけません。学生ならまだしも、社会人が仕事をしながら勉強しようとしても、なかなか時間を見つけられません。
僕自身、働きながら勉強をしていたこともありますが、平日はもちろん、休日さえ集中的に対策することはできませんでした。そういう人は多いはずです。
国立大学職員はただでさえ難度が高いうえに、試験範囲も決して狭くはありません。今までの学力などもありますが、やはり合格している人は少なくとも500~600時間は勉強しています。
学校・会社に行きながら勉強時間の確保をすることは簡単なことではないので、出題傾向を把握して効率よく勉強する、スキマ時間を上手く活用することが大切です。
関連記事:国立大学職員の勉強は何から?ボーダーラインと対策方法を徹底解説
採用倍率がえげつない
採用倍率(二次試験の倍率)が高いことも理由の一つです。
一次試験を突破合格することはそこまで難しくはありません。しかし、最終合格するとなれば倍率はヤバいことになります。
たとえば、2021年関東甲信越地区の一次合格者は1,788人でした。東京大学の採用数は15人なので、合格者全員が受験したら「採用倍率は119.2倍」になります。全員が受験することは現実的ではありませんが、3割の受験者が受験しても35倍程度はあるのでヤバいですよね…。
一次試験に合格しても最終合格までの道のりは険しいので難易度は高いと言えるでしょう。

僕が受験したときは、一次試験は7倍程度だったけど、二次試験は約50倍でしたからね(ドヤァ)!
試験科目が多すぎる
試験科目・範囲が膨大なのも無視できない傾向です。
教養試験の問題は、高校までにきちんと勉強してきた人からすれば、それほど難しいわけではありません。それなのに多くの受験者が悩んでいるのは、科目数が多すぎるからです。
たとえば、大学受験のように日本史か、世界史か、の選択ができるならなんとか勉強できるでしょう。しかし、公務員試験の問題は日本史からも、世界史からも出題があります。さらには地理や政治、経済の知識さえも問われてくるのです。
他にも理科や数学など、勉強しなければならない科目が多いため、教養試験の対策だけでもたいへんな労力を注がなくてはなりません。それ故に、最初はやる気満々だった人が、あまりの量に圧倒されてしまい公務員試験を断念するケースが後を絶ちません。
あれもこれも手をつけているうちに時間だけが過ぎていき、準備不足のまま本番を迎えてしまわないように、出題傾向をきちんと理解して対策することが大事です。過去の出題傾向を下記記事で解説しているので参考にしてください。
関連記事:【国立大学法人職員採用】教養試験の出題内容を完全公開【過去問分析】
国立大学法人等職員採用試験に落ちないためには?
ここまで解説したように国立大学法人等職員採用試験に合格するのは簡単なことではありません。
「これをやれば確実に合格できる」という方法はありませんが、ここでは「試験に落ちないために意識するポイント」を解説します。
具体的には以下の3つ。
- 正しい方法で勉強する
- 「質と量」の両方が必要
- 面接や論作文を軽視しない
正しい方法で勉強する
数ある試験のなかでも筆記試験の勉強は、正しい方法を理解したうえで実行することがポイントです。
初心者の方は特に、過去の出題傾向を理解しきれていないまま(または理解したつもりで)さまざまな科目・分野を勉強してしまう傾向があります。しかし、国立大学職員の出題傾向とズレていることに気づかないまま間違った勉強を続けていても、それは時間の無駄になってしまいかねません。
たとえるなら、間違ったフォームのまま素振りを何百回、何千回重ねても、ホームランを打つのが難しいのと同じです。確実に点数を取るには、正しい知識に基づく勉強方法が必要不可欠です。
出題傾向を正しく理解して効率よく勉強するためには、過去数年分の問題(最低5年分)を用いて、詳細なデータ分析を行う力も求められます。
なお、対策に苦労する教養試験の出題傾向については以下の記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。
関連記事:【国立大学法人職員採用】教養試験の出題内容を完全公開【過去問分析】
「質と量」の両方を意識する
仮に出題傾向を理解していたとしても、勉強量や時間が不足していては結果を出すことは難しいでしょう。
公務員試験対策は、出題傾向の理解から点を取れるまでに、最低でも3か月から1年の時間をかけて勉強するのが一般的です。また、点数が取れるようになっても知識を忘れないよう継続する必要もあります。
土に巻いた種が芽を出して花を咲かせるまでに長い時間が必要なように、公務員試験対策も長期的な目線を持って計画を立てることが重要です。
もちろん、どれだけ勉強量を増やしたところで、正しい方法(質を意識した方法)が身についていないと、かけた時間が無駄になりかねないことは覚えておいてくださいね。
関連記事:国立大学職員の勉強は何から?ボーダーラインと対策方法を徹底解説
面接や論作文を軽視しない
大前提として理解しておくべきことは、国立大学職員採用試験をはじめとする公務員試験は人物重視(面接や論作文の評価が重要)ということです。
筆記試験対策に時間がかかることは事実ですが、どれだけ高得点を取れたとしても人物試験で評価がもらえないと最終合格できません。筆記試験は、あくまで大量の受験者を篩にかけるための選考手段に過ぎません。
実際に、筆記試験で6割程度の点数しか取れない受験者でも二次試験の結果次第で合格できています。逆に7~8割の点数が取れても、評価によって落ちてしまうというケースがけっこうあります。
教養試験の勉強ばかりに時間をかけるのではなく、二次試験(論作文や面接)が合否を左右するというイメージを持ってバランスよく取り組むことが重要といえます。
国立大学職員の難易度は高いけど独学でも対策可能
国立大学法人等職員採用試験の最終合格を目指すための対策は、やることが多く、勉強時間がかかる難易度の高いものです。
懸命に教養試験の知識をインプットしても、人物重視(二次試験が重要)の選考方針のため時間をかけすぎるのはよくありません。大学職員の業務内容は基本的には学生対応や地域対応が多いので、当然だともいえるでしょう。
少しでも効率よく勉強するためには、過去問分析をきちんと行い出題傾向を理解することが重要です。ボーダーラインを超えるのに必要な科目・分野から優先して勉強できるので、他の対策にも時間を使うことができます。
バランスよく対策をして最終合格を目指しましょう!