国立大学法人等職員採用試験の一次試験で実施される教養試験。
試験科目・範囲が膨大なので、「何から勉強すればいいの?」と悩んでいるのではないでしょうか。
本記事では、国立大学法人等職員採用試験の教養試験を徹底解説します。
「教養試験はどんな科目・傾向なのか」「教養試験の効率的な勉強方法が知りたい」という方は、ぜひ参考にしてください。
試験の概要を知ることは、合格への第一歩。まずは、教養試験がどんなものか、大まかにつかんでいきましょう。
※その他、国立大学法人等職員採用試験の試験内容は「国立大学法人等職員採用試験の対策ガイド!難易度や傾向を徹底解説」でまとめています。
【国立大学法人等職員採用】教養試験の概要
教養試験は、一次試験で行われる筆記試験です。
試験レベルは「大学卒業程度(国家公務員や県庁)」。
教養試験の試験時間と問題数
試験時間 | 120分 |
問題数 | 40問 |
単純計算すると、1問にかけられる時間はわずか3分ほど。
マークシートへの記入や見直しの時間も考えると、テンポよく解答していくことが必要です。
教養試験の出題形式
出題形式は択一式です。
5つの選択肢から、問題文に合致する設問を選んでマークシートに記入します。
設問ごとに、どこが違うのか判断する必要があるため、正確な知識が求められます。
教養試験の科目
教養試験は、 計算力や読解力を測る『一般知能』と、今までに勉強してきた基礎学力を測る『一般知識』で構成されています。
一般知能 | 数的処理 | 数的推理|判断推理|空間把握|資料解釈 |
---|---|---|
文章理解 | 現代文|英文 | |
一般知識 | 社会科学 | 政治|経済|社会 |
人文科学 | 日本史|世界史|地理|思想 | |
自然科学 | 数学|物理|化学|生物|地学 |
試験科目は多いですが、問題数は科目によって異なります。
次の科目別出題数一覧を参考にして、どの科目から手をつけるのか考えてみましょう。
実施年 | 2023 | 2022 | 2021 |
---|---|---|---|
数的推理 | 4 | 4 | 4 |
判断推理 | 4 | 4 | 4 |
空間把握 | 4 | 4 | 4 |
資料解釈 | 1 | 1 | 1 |
現代文 | 3 | 3 | 3 |
英文 | 4 | 4 | 4 |
政治 | 3 | 3 | 3 |
経済 | 2 | 2 | 2 |
社会 | 2 | 2 | 2 |
世界史 | 2 | 2 | 2 |
日本史 | 2 | 2 | 2 |
地理 | 2 | 2 | 2 |
思想 | 1 | – | – |
文芸 | – | 1 | 1 |
数学 | 1 | 1 | 1 |
物理 | 1 | 1 | 1 |
化学 | 1 | 1 | 1 |
生物 | 2 | 2 | 2 |
地学 | 1 | 1 | 1 |
- 受験者からの報告をもとに作成。
- 上記の科目別出題数は僕自身の解釈であり、公式発表されたものではありません。
まずは出題数の多い数的推理や判断推理から勉強を始めるといいでしょう。
【国立大学法人等職員採用】教養試験の出題傾向
国立大学法人等職員採用試験の教養試験について、出題傾向を解説します。
数的推理の出題傾向
数的推理は、思考力や計算力を測る科目です。
主な出題分野は次のとおり。
- 数と式の計算
- 方程式と不等式
- 図形
- 場合の数と確率
このうち、もっとも出題率の高い分野は「2.方程式と不等式」です。とくに「比・割合」に関する問題は直近5年間で3回出ているため、今後も狙われる可能性が高いと言えるでしょう。
その他にも、「速さ(過去10年間で5回出題)」は比較的出ているため、併せて対策してください。
判断推理の出題傾向
判断推理は、判断力や瞬発力を測る科目です。
主な出題分野は次のとおり。
- 形式論理
- 文章条件
- 数量条件
- 暗号と規則性
このうち、もっとも出題率の高い分野は「2.文章条件」です。とくに「対応関係」に関する問題は過去10年間で9回も出ているため、今後も出題が予想できます。
その他にも、「順序関係(3年連続で出題)」は見ておくといいでしょう。
空間把握の出題傾向
空間把握は、空間認識力や図形の理解を測る科目です。
主な出題分野は次のとおり。
- 平面図形
- 空間図形
どちらの分野も出題率は高いです。とくに空間図形の「立体の切断」に関する問題は直近5年間で4回も出ているため、今後も出題される可能性が高いと言えるでしょう。
その他にも「展開図」は2年連続で出題ありなので、併せて対策してください。
資料解釈の出題傾向
資料解釈は、グラフや表から条件に当てはまる設問を選ぶ科目です。
主な出題分野は次のとおり。
- 数表
- グラフ
- 複合
このうち、もっとも出題されているのは「2.グラフ」です。10年連続で出題されていることから、今後も狙われる可能性が高いと言えます。
文章理解の出題傾向
文章理解は、300〜400字程度の文章を読んで趣旨把握や内容把握を行う科目です。
主な出題分野は次のとおり。
- 現代文
- 英文
- 古文(2015年以降は出題なし)
どちらも同じくらい出題されています。
時間配分に注意しながら読み進めることが大切です。速読する練習を中心に行なってください。
社会科学の出題傾向
中学校〜高校で学んだ基礎学力を測る科目です。
主な出題分野は次のとおり。
- 政治
- 経済
- 社会(時事)
- 思想(倫理)
このうち、もっとも出題されるのは「1.政治」です。とくに、日本国憲法(基本的人権)に関する問題は過去10年間で8回も出ていることから、今後も狙われる可能性が高いといえるでしょう。
その他にも、「統治機構(国会、内閣、裁判所」も度々出題されています。
国会>内閣>裁判所の順でよく出ていますね!
人文科学の出題傾向
中学校〜高校で学んだ基礎学力を測る科目です。
主な出題分野は次のとおり。
- 日本史
- 世界史
- 地理
- 国語芸術
このうち、もっとも出題されているのは「地理・歴史」です。
日本史は戦後の日本(過去10年間で8回)、世界史は世界大戦前後(直近5年間で3回)、地理は気候・土壌(5年連続出題)となっています。
暗記科目かつ範囲は膨大なので、テーマを絞って勉強することがポイントです。
自然科学の出題傾向
中学校〜高校で学んだ基礎学力を測る科目です。
主な出題分野は次のとおり。
- 数学
- 物理
- 化学
- 生物
- 地学
このうち、もっとも出題されているのは「4.生物」です。とくに「動物の恒常性」に関する問題は過去10年間で7回出ているため、今後も出題される可能性が高いと言えます。
その他にも、「1.数学」は「数と式」か「関数とグラフ」が交互に出ているため、その法則に従えば2024年試験では「関数とグラフ」の出題が予測できます。
より詳しい出題傾向は、次の記事を参考にしてみてください。
上記の記事を読めば「どこから勉強すればいいの?」という悩みを即解決できるので、ぜひ参考にしてください。
【国立大学法人等職員採用】教養試験でよくある質問FAQ
最後に、よく相談される内容に回答します。
- オススメの参考書はありますか?
- 過去問はどこで入手できますか?
- ボーダーラインは何割ですか?
Q1.オススメの参考書はありますか?
- スーパー過去問ゼミ
- ダイレクトナビ
- (畑中敦子シリーズ)
この2冊+1をやれば十分です。
スーパー過去問ゼミ
実務教育出版が監修している”上級者向け”の参考書です。
要点が絞られており問題+解説という構成で勉強しやすい。
情報量はやや少なめなので、ある程度知識のある方や一通り勉強を終えた方には最適ですが、まったくの初心者がこれ1冊だけで試験に臨むのはリスクが高いかもです。
ダイレクトナビ
実務教育出版が監修している”初〜上級者向け”の過去問題集です。
選択肢中の誤りを赤字で修正しながら覚える「正文化」がすでに施されており、すぐに重要箇所をインプットできます。
付属の赤シートを使えば即アウトプットもできるの一石二鳥の過去問題集です。
畑中敦子シリーズ
理系科目が苦手な人は取り組む価値のあるテキストです。
数的推理や判断推理、資料解釈について最もスタンダードな問題からやや応用レベルの問題まで、段階的にマスターできるように構成しております。
数学が不得意な方でも、解法パターンやテクニックを覚えることで、得意分野にすることは十分可能がコンセプト。
初めは解説を読んで解法をマスターし、それから自力で解けるようになるまで、繰り返し、手を動かして問題を解いてみてください!
Q2.過去問はどこで入手できますか?
過去問は公開されていません。
試験日に回収されるからです。
なお、受験者からの情報を集約した出題傾向表を次の記事で公開しているので、そちらも参考にしてみてください。
Q3.ボーダーラインは何割ですか?
ボーダーラインは非公開であり、採用数や問題レベルによっても変動するため確かなことは言えませんが、合格者の情報提供や他サイトのデータから6~7割だと推測できます。
ちなみに僕は自己採点で26~28/40問で最終合格まで行きました!7割前後でも十分に最終合格はできますよ。
なので、高得点を目指して勉強するよりも、7割を安定して取れることが大切です。
国立大学職員は筆記試験はそこそこ通して、二次試験でガッツリ落とします。というか、採用人数が少ないのでしょうがないんですけどね。
したがって、筆記試験の対策は大切ですが、それだけでは合格できないことを理解してバランスよく対策しましょう。
【国立大学法人等職員採用】教養試験は出題範囲がわかれば合格点は取れる
国立大学法人等職員採用試験の教養試験は、高校までにきちんと勉強してきた人からすればそれほど難しいわけではありません。
それなのに多くの受験者が悩んでいるのは、試験科目・範囲が膨大だからです。
事実、「科目が多くて何から勉強すればいいか分からない」という相談・お問合せが相当多いんですよね。
教養試験を効率よく勉強するには、出題範囲の理解(=過去問分析)がとても重要です。必要な科目・分野に沿って勉強すれば、これまでよりずっとラクに合格点を超えるようになると僕は考えます。
合格点は7割程度です。そんなに高くありません。なので、闇雲に無駄な勉強をするのではなく、過去の出題傾向を軸に勉強してください。
まずは科目ごとの出題範囲を理解する。
そこから始めていきましょう!