【高卒で税務署に就職】税務職員の難易度と対策ガイド2023

税務職員採用試験の難易度
この記事でわかること
  1. 高卒で税務署に就職する方法
  2. 税務職員採用試験の概要
  3. 税務職員採用試験の難易度
  4. 税務職員採用試験に合格するための対策手順
  5. 税務職員採用試験に受かるコツ

本記事では、「これから税務職員を目指したい」「受験勉強を始めたばっかり」という人を対象に、税務職員採用試験(高卒者)の難易度や難しさを解説します。

結論から言えば、税務署職員採用試験の難易度は高くありません。しかし、合格することは思っている以上に難しいです。

今回は、高校を卒業したらの税務署で働きたい方に向けて「受験マニュアル」を作る気持ちで書きました。最後まで読めば、採用試験の概要から合格に向けた準備まで行うことができますよ!

敵を知らずして対策を始めてしまうのは、正直無謀むぼうです。本記事を参考に税務職員採用試験の合格に向けて着実に準備を進めていきましょう。

目次

高卒で税務署に就職するには|税務職員になる方法

結論から言うと、高卒で税務署に就職したい(税務職員になりたい)なら、人事院が行う税務職員採用試験に合格する必要があります

税務職員採用試験は、税務署や国税局などで働く職員(公務員)を募集する試験のことで、人事院が行う国家公務員試験の一つです。試験区分は、年齢によって以下のように分かれます。

  • 22歳〜29歳:国税専門官採用試験
  • 18歳〜21歳:税務職員採用試験

高校を卒業してすぐ税務職員になりたい場合は税務職員採用試験を、高校を卒業して3年以上経っているなら国税専門官採用試験をそれぞれ受験しましょう。

えもと

国税専門官採用試験は大卒者向けの試験ですが、学歴は関係ないので、年齢制限をクリアしていれば受験できます。

税務職員採用試験の概要(令和5年度)

ここでは、令和5年度税務職員採用試験の概要を解説します。

  • 受験資格(年齢制限)
  • 採用人数
  • 試験日
  • 試験内容(科目)

受験資格(年齢制限)

次の条件を満たす必要があります。

  1. 2002年4月2日から2005年4月1日までに生まれた人
  2. 日本国籍を有する人
  3. 欠格条項に概要しない人

試験日

令和5年度税務職員採用試験は、以下の日程で行われます。

一次試験日令和5年9月3日(日)
二次試験日令和5年10月11日(水)〜10月20日(金)

詳しいスケジュールや併願などの詳細を令和5年度税務職員の試験日はいつ?オススメの併願パターンも紹介でまとめています。

採用人数

令和5年度税務職員採用試験では、合計713人の採用を予定しています。

北海度25
東北40
関東甲信越300
東海北陸80
近畿120
中国40
四国25
九州75
沖縄8

昨年度は900人だったので、約200人減る見込みです。過去の採用人数などについては、こちらの『令和5年度税務職員の採用人数は減少傾向?過去の採用数も地域別に紹介』でまとめています。

試験内容(科目)

税務職員採用試験は、二段階選抜方式で行われます。まず一次選考で受験者をふるいにかけ人数を絞ります。その後、一次選考の合格者を対象に二次選考を行い最終合格者を決定。

それぞれの試験内容(科目)は以下のとおり。

一次試験基礎能力試験公務員として必要な基礎的な能力(知能及び知識)についての択一式試験。
作文試験テーマにそって、自分の考えを論じる記述式試験。
適試試験速く正確に事務処理を行う能力についての筆記試験
二次試験身体検査健康度を検査
口述試験個人面接を実施

詳しい内容や傾向を、こちらの『【初心者向け】税務職員の試験内容(科目)と傾向を徹底解説』でまとめています。

税務職員採用試験の難易度

税務職員採用試験は、公務員試験の中でも人気が高く、多くの受験者が挑戦しています。しかし、実際のところ、難易度はそこまで高くはありません

以下にその理由を3つ紹介します。

  1. 試験問題は中学校から高校1年レベル
  2. ボーダーは6割程度
  3. 倍率は低下傾向

試験問題は中学から高校1年レベル

税務職員採用試験の問題は、高校までに学習した内容が出題範囲に含まれるため、基礎的な知識があれば解ける問題が多いです。

たとえば、以下の問題。

税務職員採用試験の問題

数的推理の問題の一つである「速さ」という単元で、中学校1年生で学習する内容です。算数や数学が苦手な人でも、少し勉強すれば思い出せるのではないでしょうか。

大学入試レベルの問題もたまに出題されていますが、基本的には中学校から高校1年生のレベルの問題が中心となっています。

ボーダーラインは6割程度

一次試験の合格者は、基礎能力試験と適性試験の点数で決定します。

税務職員採用試験のボーダーラインは、採用人数や問題レベルによって変動するため一定ではありませんが、だいたい6割程度が目安になります。

ボーダーラインが8~9割なら難易度は高いと言えますが、6割程度なら出題傾向を理解して正しく勉強すれば十分に合格点を取れます。

合格点を取るためには、出題傾向を把握し、過去問題集を中心に繰り返し解くことが大事です。

倍率は低下傾向

税務職員採用試験は、全国から受験者が集まるため、倍率は高めです。しかし、近年は受験者数の減少、採用人数の増加に伴い、倍率が低下している傾向にあります。

ブロック受験者数合格者数倍率
北海道185503.7
東北4041103.7
関東甲信越1,7896302.8
東海北陸6611883.5
近畿7132832.5
中国5011283.9
四国224643.5
九州7561834.1
沖縄142207.1
合計5,3751,6563.2

この数値の中には、まともに対策していない人も多く含まれているので、実際はもっともっと低いです。試験内容や傾向をきちんと理解して効率よく対策しましょう。

過去の実施状況については、こちらの『【2022年度】税務職員採用(高卒者試験)の倍率推移【地域別】』でまとめています。

このように、税務職員採用試験の難易度・・・はそこまでハードじゃないです。しかし、実際に合格するのは簡単ではありません。

税務職員採用試験が難しい理由

税務職員採用試験の難易度は高くありませんが、合格するためには幅広い知識と能力が求められます。そのため、合格に向けて対策を始めることは、多くの受験者にとって高いハードルとなっています。

その理由は以下のとおりです。

  1. 競争試験だから
  2. 試験科目が多いから
  3. 圧倒的な人物重視だから

競争試験だから

税務職員採用試験は、一定数の採用枠に対して、成績上位者から順に合格が決まる競争試験です。そのため、受験者全員が合格できるわけではなく、ライバルたちとの競争によって合否が決まります。

また、資格試験(英検や漢検など)であれば合格ラインはある程度決まっていますが、税務職員の合格ラインは、採用人数や受験者数によって変動します。

そのため、どの程度の点数を目指せばよいかが判断しにくく、勉強の方向性を見失いやすいという問題があるのです。

試験科目が多いから

税務職員の試験科目は5分野21科目もあります。

分野科目
数的処理数的推理|判断推理|空間把握|資料解釈
文章理解現代文|英文|古文
社会科学政治|経済|社会|倫理
人文科学日本史|世界史|地理|国語|英語
自然科学数学|物理|化学|生物
令和4年度の情報

これら5分野21科目から出題があるため、対策には相当な時間が必要です。そのため、受験者にとっては大変な試験の一つと言えるでしょう。

問題レベルは、中学校から高校までに学んだことのある内容ばかりですが、6年かけて学んだ内容を1年くらいで勉強しないといけないので簡単ではないですよね。

やみくもに勉強を始めるのではなく、出題傾向を理解して効率よく勉強することがポイントです。

多角的な能力が求められる

税務職員採用試験では、知識や学力だけでなく、公務員としての適性・資質や人間性(コミュニケーション能力)も評価されます。つまり、単純な学力だけでなく、多角的な能力が求められることになります。

これまでの入学試験や資格試験では、知識を詰め込んでいれば合格できたものが、税務職員採用試験では、能力を総合的に評価されるため、単に知識を詰め込んでいるだけでは合格できません。

例えば、税務職員採用試験における最終合格者の決定方法は以下のとおりです。

作文試験及び身体検査に合格し、かつ、面接試験においてA~C評価である者について、一次試験の得点を踏まえて総合的に決定する。

つまり、どれだけ筆記試験の点数が高くても、作文や面接で一定の評価を得られないと最終合格に至らない可能性があるということです。偏った対策をするのではなく、どの試験科目もバランスよく対策しましょう。

税務職員採用試験に合格するまでの対策手順

つづいて、税務職員採用試験に合格するまでの対策手順を紹介します。

  1. 基礎能力試験の対策から始める
  2. 作文試験の対策を始める
  3. 模試を受ける
  4. 自己分析を進める
  5. 面接練習を始める

基礎能力試験の対策から始める

まずは、基礎能力試験の対策から始めましょう。

なぜなら、5分野21科目から出題があるので、対策には相当な時間が必要だからです。そのため、受験者にとっては大変な試験の一つと言えるでしょう。

問題レベルは、中学校から高校までに学んだことのある内容ばかりですが、それをもう一回勉強しないといけないので簡単ではありません。

あれもこれも手をつけているうちに時間だけが過ぎていき、準備不足のまま本番を迎えてしまわないように、出題傾向をきちんと理解して対策することが大事です。

詳しい出題傾向や勉強方法を【独学向け】税務職員の基礎能力試験とは?勉強法と出題傾向を解説で紹介しています。参考にしてください。

作文試験の対策を始める

作文試験は基礎能力試験と違いどう対策したらよいか悩むため、多くの人は対策を後回しにしてしまいがちです。僕自身、そうでした。

作文試験は、税務職員として必要とされる表現力や思考力を評価するもので、最終合格するには対策が必要です。

文章構成や出題傾向の確認、書いた答案の添削と修正など、作文対策はかなりの時間がかかるので、できるだけ早めに準備を始めるといいでしょう。

詳しい傾向やテーマなどを【税務職員の作文対策】過去問や傾向から書き方まで徹底解説でまとめています。

模試を受ける

ある程度、試験対策が進んだら模擬試験を受けましょう。

  • 初見問題への対応
  • 時間配分の確認
  • 弱点の把握

模試を受けることで、これらのメリットがあるからです。試験レベル「高校卒業程度」のものをいくつか受けてみましょう。

自己分析を進める

あなたがこれまでに経験してきた入学試験(中学・高校入試)や資格試験では、単純な学力だけが問われ、知識を詰め込んでいれば合格が狙えました。

しかし、税務職員採用試験に最終合格するには個人面接で好成績をとらなければ、筆記試験が満点でも不合格となるのです。

面接では、事前に提出する面接カードに沿って質問されます。そのため、自分自身の強みや魅力を的確にアピールできるように面接練習を行い、自分自身を客観的に見つめ直すことが大切です。

自己分析が不十分だと、深掘りした質問に返答できないので、時間をかけて自己分析してください。詳しくは、こちらの『税務職員の面接カードはいつ提出する?内容や書き方を徹底解説』を参考にしてください。

面接練習を始める

最後は、早めに面接練習をしましょう。

なぜなら、思っていることを声に出して伝えることは難しいからです。せっかく自己分析に時間をかけて自己PRや志望動機を考えても、それが面接官に伝わらないと意味がありません。

また、話す内容が良くても、表情や話し方、態度などが悪ければ評価を上げることはできません。そういった部分は1人では判断できないので、必ず第三者に見てもらいながら練習してください。

詳しくは税務職員採用試験の面接対策!過去の質問や落ちる人の特徴を解説を参考にしてください。

税務職員採用試験に受かるコツ

税務職員採用試験に受かるコツ(大切なこと)を解説します。

  • スキマ時間を有効活用する
  • 仲間をつくる

スキマ時間を有効活用する

公務員試験でとにかく大切なことは、『時間は無限ではない』ということです。

じゃあ具体的にどうやって時間を捻出するの?というと、『スキマ時間を有効活用する』という結論に達します。

  • 通学時間
  • 学校での休み時間
  • 食事の前後
  • 入浴時間
  • 寝る前の10分間 など

全てを使うのは難しくても、自分の生活スタイルに合わせてこの中のいくつかを取り入れるだけでも十分スキマ時間を活用できますよ。

たとえば1回20分のスキマ時間でも、1年で7,300分(約120時間)になります。

これが1日の中で3回(朝、昼、夜)繰り返されるだけで、年間365時間も勉強できることになりますよね。最終合格までに必要な勉強時間は500~600時間なので、スキマ時間だけでも6~7割ぐらいの勉強ができてしまうのです。

仲間をつくる

対策はやることが多いので…まぁ、シンドイです。モチベーションを長期間保ちながら筆記対策も面接対策もする必要があるため、相当な覚悟が求められます。

想像してみてください、周囲が遊んでいる中で自分だけ勉強漬けの毎日、会食やイベントなどの誘いをシャットアウトしながら勉強に集中して高いパフォーマンスを維持しなければならないのです。

実際、合格を目指して勉強を始める人は多いですが、途中で挫折する人も相当多いです。100人いて30〜50人ぐらい、半分はいなくなります。

試験に合格するためには、同じ目標を持った仲間を作ることが大切です。共通の目標を持つ仲間と一緒に勉強したり、励まし合ったりすることで、モチベーションが高まり、成績も向上することが期待できます。

また、仲間と情報を共有することも重要です。受験に必要な情報や知識を共有し合うことで、受験の準備がより効率的に進められます。さらに、受験に不安や悩みがあれば、仲間と共有して相談することで、心の負担を軽減することができます。

税務職員採用試験でよくある質問FAQ

最後に、お問い合わせフォームからよく寄せられる質問をまとめています。

過去問はどこで入手できますか?

人事院の情報公開制度を利用して過去問を請求できます。

解説はありませんが、最新の問題を見ることができるので、出題内容や形式、問題レベルを測るには十分に役立つでしょう。

ボーダーラインは何割くらいですか?

ボーダーラインは6割程度です。

15科目以上の量を勉強して、合格点が8~9割なら無理ゲーですが、6割程度なら出題傾向を理解して正しく勉強すれば十分に取れますよ。

詳しい内容は税務職員のボーダーラインは何割?効率よく合格点を取る2つのコツで解説しています。

高卒で税務職員になるために勉強を始めよう!

今回は、高卒で税務職員になる方法や、採用試験に合格するまでの道のりを解説しました。

最後に、税務職員採用試験に合格するまでの手順を振り返りましょう。

  1. 基礎能力試験の対策から始める
  2. 作文試験の対策を始める
  3. 模試を受ける
  4. 自己分析を進める
  5. 面接練習を始める

採用試験に合格するのは簡単ではありませんが、きちんと対策すれば受かることは十分可能な試験です。出題傾向を把握して、効率よく勉強を始めましょう。

今回は以上です。

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この記事を書いた人

公務員試験の指導を13年間やっています。新卒で大手専門予備校に就職→公務員課で5年間勤務、在職中に公務員試験を受験するも不合格→退職→公務員試験の勉強→国立大学法人、政令市、市役所に合格→現在、某大学の職員として8年目。 2018年6月からサイトを運営中。普段はカフェで珈琲飲んでます。

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