【税務職員採用試験】基礎能力試験の科目と勉強方法を徹底解説

税務職員採用試験の基礎能力試験

この記事でわかること

  • 基礎能力試験の傾向
  • 基礎能力試験の出題科目
  • 基礎能力試験の勉強方法(対策方法)

税務職員採用試験の一次試験で実施される基礎能力試験。

試験科目・範囲が膨大なので、「何から勉強すればいいの?」と悩んでいる方はとても多いです。

そこで本記事では、基礎能力試験の傾向や試験科目を徹底解説します。効率的な勉強方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

試験の概要を知ることは、合格への第一歩。

まずは、基礎能力試験がどんなものか、大まかにつかんでいきましょう。

*合格に向けて準備を始めたい方は『高卒で税務署職員になるのは難しい?採用試験の難易度と受かるコツ』をご覧ください。試験の全体像を網羅したガイドブックです。

タップできる目次

【税務職員】基礎能力試験の概要

基礎能力試験は、一次試験で行われる筆記試験の一つです。

概要は次のとおり。

試験時間90分
問題数40問(全問必答)
出題形式択一式(マークシート)
レベル高校卒業程度
配点比率2/4
令和5年度の試験情報

受験者の思考力や判断力を測る試験のため、速読・速答が求められれます。

単純計算すると、1問にかけられる時間はわずか2分ほど。マークシートへの記入や見直しの時間も考えると、テンポよく解答していくことが必要です。

実際に、時間が足りずに問題を解ききれない人は少なくありません。本番での時間配分を考えながら事前に過去問題集で練習しておくなど、十分な対策を取りましょう。

【税務職員】基礎能力試験の科目

基礎能力試験の科目は、 計算力や読解力を測る『一般知能科目』と、今までに勉強してきた基礎学力を測る『一般知識科目』で構成されています。

具体的な試験科目は次のとおり。

一般知能数的処理数的推理|判断推理|空間把握|資料解釈
文章理解現代文|英文|古文
一般知識社会科学政治|経済|社会
人文科学日本史|世界史|地理|国語|英語|思想
自然科学数学|物理|化学|生物|地学
令和5年度の情報

令和6年度からの変更点
上記科目に加えて、「情報」が加わります!

基礎能力試験の見直し(人事院)

科目の特徴や問題例を紹介します。

数的処理

計算力や推理力を問う分野で、次の4科目から構成されます。

  • 数的推理
  • 判断推理
  • 空間把握
  • 資料解釈

初めて見る科目ばかりだと思いますが、要は小・中学校で習った算数・数学のような科目です。

数的処理の問題例

税務職員の問題例(数的推理)
数的推理の問題

中学校で習う「速さ」の問題だったり…。

税務職員の問題例(判断推理)
判断推理の問題

文章から正解を推理したりする問題が多く出題されています。

このように数学的要素が強いため、苦手とする受験者は多いです。しかし、出題数が一番多い分野なので苦手のままだと詰みます。

  • 数的処理:13問
  • 文章理解:7問
  • 社会科学:6問
  • 人文科学:9問
  • 自然科学:5問

*令和5年度の情報

苦手意識が強い人は、簡単な参考書で解法パターンを把握することから始めましょう。

文章理解

日本語と英語で書かれた300字〜400字程度の文章を読み解く力を測る分野で、以下の3科目から構成されます。

  • 現代文
  • 英文
  • 古漢文

問題は、大きく「趣旨・内容把握」「文章整序」「空欄補充」の3タイプに分けられます。

文章理解の問題例

税務職員の問題例(英文)
英文の問題

書かれている文章を読んで、主題に合う設問を選んだり…。

税務職員の問題例(現代文)
現代文の問題

文章の段落構成や論理の流れを把握したりして正解を出します。

時間をかければ正解できる問題は多いです。しかし、解くのに時間がかかるので、時間配分に気をつけてください。

社会科学

高校までの基礎学力(社会科目の知識力)を測る分野で、以下の4科目で構成されます。

  • 政治
  • 経済
  • 社会
  • 倫理

憲法や選挙制度、日本国内外の政治経済、そして社会時事(話題になっている近年の社会問題)などから出題があります。

社会科学の問題例

税務職員の問題例(政治)
政治の問題
税務職員の問題例(社会)
社会の問題

日頃から新聞・ニュース等で取りあげられる政治、経済、社会問題にアンテナを貼っておけば解ける問題もあるので、きちんと情報収集をしましょう。

人文科学

高校までの基礎学力(歴史や語学の知識力)を測る分野で、以下の5科目で構成されています。

  • 日本史
  • 世界史
  • 地理
  • 国語
  • 英語

科目から想像できるように、The 暗記科目です。1科目あたりの出題範囲が膨大なので、ポイントを絞りつつ要点を整理して覚えることが大切。

人文科学の問題例

税務職員の問題例(日本史)
日本史の問題
税務職員の問題例(国語)
国語の問題

出題数の多い国語は確実に正解できるようにして、他は高校での選択科目を中心に勉強しましょう。

自然科学

高校までの基礎学力(数学や理科の知識力)を測る分野で、以下の5科目で構成されています。

  • 数学
  • 物理
  • 化学
  • 生物
  • 地学

理系科目がメインなので、捨て科目にする人は多いです。

自然科学の問題例

税務職員の問題例(数学)
数学の問題
税務職員の問題例(物理)
物理の問題

僕も理系科目は嫌いだったので、自然科学を捨てたくなる気持ちはわかります。でも化学や生物、地学は暗記するだけでも点が取れる問題もありますよ

全部捨てて点数を下げるよりは、そういった問題を取ることが重要です。

以上が、税務職員採用試験における基礎能力試験の出題科目です。科目数はハンパないので、きちんと傾向を理解して勉強することが大事

【税務職員】基礎能力試験の勉強方法

基礎能力試験は、科目も範囲も膨大です。そのため、適当に勉強することはNGです。

ここでは、効率よく勉強する方法を解説します。

  • 参考書・問題集を準備する
  • 主要科目から勉強する
  • 点になる科目と捨て科目の選定
  • 頻出分野に時間をかける
  • 復習メインでインプット&アウトプット

1.参考書・問題集を準備する

公務員試験用のテキストは数種類あるので、自分に合うものをチョイスしましょう。

どのテキストを使ってもいいですが、次の2つがあれば十分です。

えもと

参考書を読みこむときは、全ページを通読するのではなく、必要な箇所(出題頻度の高い章)だけ読むこと。

2.主要科目から勉強する

まずは数的推理と判断推理、そして社会科学を優先的に勉強するといいでしょう。

計算を含み、原理を理解するのに時間がかかる、または物理的に量が多いからです。

また、これらの科目だけで全体の約4割を占めています。

  • 数的推理:4問
  • 判断推理:5問
  • 社会科学:6問

合計:15問 / 40問中(37.5%)

これらの科目にある程度メドが立たないと、合格は光の彼方なので、勉強当初は、これら主要科目に時間を使ってください。

出題数が少ない科目に時間をかけても総合点は上がりません。すべてを勉強して中途半端になるよりも、まずは出題数の多い科目を確実に正解することが大切です。

3.点になる科目と捨て科目の選定

試験科目は多いですが、全科目から均等に出るわけではありません。

なので、どの科目で点を取り、どの科目は手を抜くのかを考えることが大事です。

次の科目別問題数一覧を参考に、勉強計画を考えてみましょう。

科目別出題数一覧

数的推理4
判断推理5
空間把握2
資料解釈2
現代文4
英文2
古文漢文1
政治2
経済1
社会2
倫理1
日本史1
世界史2
地理2
国語2
英語2
数学1
物理1
化学1
生物1
地学1

令和5年度本試験より作成

  • 上記の科目別出題数は僕自身の解釈であり、公式発表されたものではありません。

「出題率」や「範囲の絞りやすさ」をもとに考えると、

◎点になる科目
国語、倫理、地理、地学

◎捨て科目
世界史、数学、理科科目(地学以外)

あたりかなと、僕は考えます。

あなたの学力や得手不得手で、どの科目に時間を割き、どの科目は捨てるのか考えてください。

4.頻出分野に時間をかける

どの科目も出題範囲は広いですが、最初から最後まで満遍なく出ません

例えば、日本史で縄文時代〜江戸時代を勉強している人は落ちる可能性が極めて高いです。

理由は簡単でして、試験に出ていないから。

具体的なデータがこちら。

税務職員の出題範囲

どれだけ平安時代や鎌倉時代を勉強しても、出ないので時間の無駄ですよね。

やみくもに取り組むのではなく出題傾向を見極めて効率的に勉強を進める意識が大切です。

出題範囲を知る(過去問分析する)のは簡単ではありませんが、出ない分野をどれだけ勉強しても0点なので、メンドーですが早めに理解しましょう!

過去10年間の出題範囲をまとめたデータを次の記事で公開しています。

5.復習メインでインプット&アウトプット

また、勉強において重要なのは先に進むことよりもどれだけ復習をしたかということです。

復習するタイミングですが、僕は勉強した箇所は3日連続で見るというルールで覚えていきました。要するにその日に解いた問題は短いスパンで3回見るというものです。

1日目問題1〜10をやる
2日目問題1〜10を見直して、問題11〜20をやる
3日目問題1〜20を見直して、問題21〜30をやる…

とくに重要なのが翌日の復習

勉強した次の日に復習しないだけで一気に知識の定着が悪くなります。記憶の法則で有名なエビングハウスの忘却曲線でも人間の記憶力は翌日にガタ落ちすることが立証されていますからね。

最初のうちはけっこうシンドイですが、1カ月ほど続けてみれば結果が見えてくるので、反復練習を意識して勉強していきましょう。

【税務職員】基礎能力試験対策でよくある質問FAQ

基礎能力試験について、よくある相談や質問に回答します。

  • オススメの参考書・問題集はありますか?
  • 過去問はどこで入手できますか?
  • ボーダーラインは何割ですか?
  • 何から勉強すればいいですか?

オススメの参考書・問題集はありますか?

結論、次の3冊がオススメです。

  1. オープンセサミシリーズ(セサミ)
  2. スーパー過去問ゼミ(スー過去)
  3. 基礎能力試験攻略マニュアル(note)

公務員予備校”東京アカデミー”が監修している”初心者〜上級者向け“の参考書(全5冊)です。

大きな特徴は「情報量が豊富」。

これ1冊だけで、ほとんどの試験範囲を網羅できます。しかし、無駄な情報もそれなりに含まれているので出題範囲を絞って使いましょう。

編集:東京アカデミー
¥1,760 (2023/07/22 08:47時点 | Amazon調べ)
\楽天ポイント4倍セール!/
楽天市場

過去問はどこで入手できますか?

結論、人事院の情報公開制度を使い入手できます。

また、次の記事でも一部の問題・解答をまとめているので参考にしてください。

ボーダーラインは何割ですか?

結論、6割(24/40問)程度です。

ボーダーラインは年度によって変動するため一定ではありませんが、例年6割前後で推移しています。

なので、最低5割を目安に6割〜7割取れるように準備してください。

何から勉強すればいいですか?

結論、出題数が多い科目出題頻度の高い分野からです。

科目ごとの出題数は科目別出題数一覧を、分野ごとの出題頻度は次の記事を参考にしてください。

基礎能力試験は出題傾向を知れば楽勝です。

税務職員の基礎能力試験は、高校までにきちんと勉強してきた人からすればそれほど難しいわけではありません。

それなのに多くの受験者が悩んでいるのは、試験科目・範囲が膨大だからです。

事実、「科目が多くて何から勉強すればいいか分からない」という相談・お問合せが相当多いんですよね。

基礎能力試験を効率よく勉強するには、出題範囲の理解(=過去問分析)がとても重要です。必要な科目・分野に沿って勉強すれば、これまでよりずっとラクに合格点を超えるようになると僕は考えます。

合格点は6割程度です。そんなに高くありません。なので、闇雲に無駄な勉強をするのではなく、過去の出題傾向を軸に勉強してください。

まずは科目ごとの出題範囲を理解する。
そこから始めていきましょう!

過去10年間の頻出分野を科目別にまとめた一覧を次の記事で公開しています。

えもと

上記の記事を読めば「どこから勉強すればいいの?」という悩みを即解決できるので、ぜひ参考にしてください。

タップできる目次