【高卒】特別区三類の教養試験とは?出題傾向と勉強方法を徹底解説

特別区(三類)教養試験

特別区三類(高卒)の一次試験で実施される教養試験。

試験科目・範囲が膨大なので、「何から勉強すればいいの?」と悩んでいるのではないでしょうか。

本記事では、特別区三類(高卒)の教養試験を徹底解説します。

「教養試験はどんな科目・傾向なのか」「教養試験の効率的な勉強方法が知りたい」という方は、ぜひ参考にしてください。

試験の概要を知ることは、合格への第一歩。
まずは、教養試験がどんなものか、大まかにつかんでいきましょう。

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【特別区三類(高卒)】教養試験とは?

教養試験とは、特別区三類(高卒)の一次選考で行われる筆記試験のことです。

公務員として働くうえで必要な、基礎学力(思考力・判断力や一般教養)がどれくらい備わっているかを測る目的があります。

教養試験の概要

試験時間120分
問題数50問
出題形式五肢択一式(マークシート)
レベル高校卒業程度
2023(令和5)年度特別区三類 教養試験の概要

教養試験の科目

教養試験は、「一般知能(思考力や判断力を測る科目)」と「一般知識(高校までに習った基礎学力を測る科目)」で構成されます。

一般知能数的処理数的推理|判断推理|空間把握|資料解釈
文章理解現代文|英文
一般知識社会科学政治|経済|社会|倫理
人文科学日本史|世界史|地理|国語|文芸術
自然科学物理|化学|生物|地学
特別区三類 教養試験の科目一覧

このように、中学~高校までに学んだ内容から多く出題されるので、科目の多い大学入試共通テストと僕は思っています。

共通テストとの大きな違いは、科目選択の有無です。

たとえば共通テストであれば、社会なら日本史か世界史、理科なら物理か生物のように、受験に必要な科目を選択して試験を受けられます。しかし、教養試験では、全科目から出題があるのです。

一部の問題は選択できるものの、社会なら日本史も世界史も、理科なら物理も生物もすべて勉強しないといけません。

これが公務員試験の面倒な部分であり、特別区三類(高卒)は難しいといわれる所以ゆえんです。

えもと

これまでの受験勉強とは少し違った工夫が必要なので、次に効率的な勉強方法を紹介しますね。

【特別区三類(高卒)】教養試験の出題傾向

特別区三類(高卒)の教養試験について、出題傾向を解説します。

数的推理の出題傾向

数的推理は、思考力や計算力を測る科目です。

分野主な項目
方程式方程式、不等式、平均算・年齢算
割合比、混合算、仕事算、ニュートン算
速さ速さ、旅人算、流水算、時計算
確率場合の数、順列、確率
図形多角形、円、空間計量
整数整数・約数・倍数、記数法
規則性数列、規則性
その他計算パズル、その他
数的推理の出題範囲一覧

このうち、もっとも出題率の高い分野は「図形」です。10年連続で出ているため、今後も狙われる可能性が高いと言えるでしょう。

えもと

図形の中でも「多角形」が頻出です!

その他にも、「整数(整数・約数・倍数)」は過去10年で9回出ているため、併せて対策してください。

判断推理の出題傾向

判断推理は、判断力や瞬発力を測る科目です。

順序関係順序関係
対応関係二集合対応、多集合対応、組分け
集合ベン図、線分図
論理論理、三段論法、ド・モルガンの法則
位置関係直線、平面、空間、方向
試合試合数、トーナメント、リーグ戦
証言証言
暗号暗号問題
数量数量問題、貸し借り
日歴算日歴算
手順ルール、天秤
道順道順、順列
判断推理の出題範囲一覧

このうち、もっとも出題率の高い分野は「暗号」です。10年連続で出ているため、今後も狙われる可能性が高いと言えるでしょう。

えもと

暗号が出るのは特別区の大きな特徴です!ほとんどの公務員試験では出ないんですよね。

その他にも、「試合」は過去10年間で9回出ているため、併せて対策してください。

空間把握の出題傾向

空間把握は、空間認識力や図形の理解を測る科目です。

平面図形等積図、パズル
折り紙図形の折り方、折り紙
軌跡多角形の軌跡、円の軌跡
立体図形正多面体、立体構成
展開図正多面体の展開図、サイコロ
投影図形投影図、陰影
切断図形切断図、切断面の計算
回転移動回転体、回転と移動
経路最短経路、一筆書き
空間把握の出題範囲一覧

このうち、もっとも出題率の高い分野は「軌跡」です。過去10年間で7回で出ているため、今後も狙われる可能性が高いと言えるでしょう。

えもと

軌跡の中でも、円形より多角形がよく出ています!

その他にも、「立体構成」は過去10年間で5回出ているため、併せて対策してください。

資料解釈の出題傾向

資料解釈は、グラフや表から条件に当てはまる設問を選ぶ科目です。

数表表計算
グラフグラフ、データ
複合数表とグラフ
資料解釈の出題範囲一覧

どちらの分野からも均等に出題があります

多くの公務員試験において、資料解釈の出題数は1〜2問ですが、特別区三類(高卒)では4問も出ています。

このことからも、対策は必須と言えるでしょう。

文章理解の出題傾向

文章理解は、300〜400字程度の文章を読んで趣旨把握や内容把握を行う科目です。

現代文趣旨把握・内容一致、空欄補充、文章整序
英文趣旨把握・内容一致、空欄補充、文章整序
古文・漢文趣旨把握・内容一致、空欄補充、文章整序
文章理解の出題範囲一覧

現代文も英文も10年連続で出ているので、対策は必須です。とくに、現代文は全項目から均等に出題があるので、接続しや助詞などの知識も必須。

古文・漢文の出題は2019年から出ていません。気にする必要はないでしょう。

社会科学の出題傾向

中学校〜高校で学んだ基礎学力を測る科目です。

政治日本国憲法、統治機構、政治学、国際政治
経済市場経済、日本経済、国民経済、国際経済
社会労働問題、社会保障、人口問題、現代社会(時事)
倫理西洋思想、中国思想、日本思想
社会科学の出題範囲一覧

このうち、もっとも出題率の高い分野は「政治」です。とくに、日本国憲法の原理に関する問題は直近5年間で3回も出ていることから、今後も狙われる可能性が高いといえるでしょう。

その他にも、経済は財政の仕組み、社会は環境問題、倫理は西洋思想が頻出です。

人文科学の出題傾向

中学校〜高校で学んだ基礎学力を測る科目です。

日本史原始・古代、中世、近世、近・現代、通史
世界史西洋史、東洋史、現代史
地理地図、人類と環境、生活と産業、地誌
国語漢字、四字熟語、ことわざ、現代文法
文・芸術文学史、音楽史、美術史
人文科学の出題範囲一覧

このうち、もっとも出題率の高い分野は「国語」です。とくに、ことわざ・故事成語に関する問題は10年連続で出ていることから、今後も狙われる可能性が高いといえるでしょう。

その他にも、日本史は戦後の日本、世界史は中国史、地理は地誌(アジアの諸地域)、文・芸術は日本文学史がそれぞれ頻出です。

自然科学の出題傾向

中学校〜高校で学んだ基礎学力を測る科目です。

物理速度、力、熱、波動、電磁気
化学物質の構成、化学結合、化学反応式、金属元素、有機化合物
生物細胞、遺伝、恒常性、植物と動物、生命の集団
地学地球の構造、地殻の構成、大気の運動、太陽系と宇宙
自然科学の出題範囲一覧

このうち、もっとも出題率の高い分野は「物理=化学=生物>地学」の順です。

とくに、物理は電磁気、化学は原子と分子、生物は生物の集団、地学は地球の歴史がそれぞれ頻出です。

【特別区三類(高卒)】教養試験の勉強方法

特別区三類(高卒)の教養試験を効率よく勉強するには、次の手順を踏みましょう。

  • 勉強する科目を決める
  • 出題率の高い分野から着手する
  • 過去問題集で総復習する

方法①:勉強する科目を決める

まずは、どの科目から勉強するのか優先順位を決めましょう。

なぜなら、全科目から均等に出題されるわけじゃないからです。

たとえば、数的推理は5~6問出ている一方で、地学や経済は1問ずつしか出ていません。どちらの科目に時間をかけて勉強するかは明白ですよね。

それに、一般知識科目は22問から17問を選択して解答できるので、最初から捨て科目を決めておくことだって可能なわけです。

以下の科目別出題数一覧を参考に、どの科目から勉強していくのか決めましょう。

実施年度202320222021
数的推理565
判断推理656
空間把握434
資料解釈444
現代文666
英文333
政治333
経済111
社会111
日本史222
世界史222
地理121
国語444
思想111
数学000
物理222
化学222
生物222
地学111
特別区三類(高卒) 教養試験の科目別出題数一覧

方法②:出題率の高い分野から着手する

続いて、どの分野から覚えていくのか決めましょう。

科目別の出題傾向でも解説したように、どの科目も最初から最後まで出ていないからです。

たとえば、社会科学の社会分野では、「第1章 労働問題と消費者問題」からの出題率は20%、一方で「第4章 地球環境」の出題率は60%(直近5年では80%)となっています。

特別区三類(高卒) 社会分野の出題範囲一覧
特別区三類(高卒) 社会分野の出題範囲一覧
  • 上記は僕自身の解釈であり、公式発表されたものではありません。

同じ労力をかけるなら、最初(第1章 労働問題と消費者問題)から勉強するよりも、頻出である分野から勉強した方が効率的ですよね。

社会保障や人口問題のように、出題率ゼロって分野も普通にあるので、最初から最後まで満遍なく勉強するような無駄はやめましょう。

方法③:過去問題集で総復習する

最後は、公務員試験の過去問題集を使いながら総復習しましょう。

ここでは、これまでに勉強した頻出度の高い科目・分野の知識定着にくわえて、スルーしてきた分野の底上げなどにも有効です。

同レベル(高校卒業程度)であれば、どの過去問題集を使ってもOKです(オススメは「過去問350シリーズ」)。

実践形式で解くよりは、選択肢ごとにどこが間違っているのか確認しながら解いていく(正文化していく)方がいいでしょう。

【特別区三類(高卒)】教養試験に関するFAQ

最後に、特別区三類(高卒)の教養試験対策でよくある質問(FAQ)を紹介します。

オススメの参考書・問題集はありますか?

  • オープンセサミシリーズ(セサミ)
  • スーパー過去問ゼミ(スー過去)

この2冊がオススメです。

公務員予備校東京アカデミーが監修している”初心者〜中級者向け“の参考書です。

情報量が豊富でこれ1冊を覚えるだけでかなりの点数が取れます。

しかし、無駄な情報もそれなりに含まれているので出題範囲を絞って使いましょう。

編集:東京アカデミー
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過去問はどこで入手できますか?

特別区人事委員会のホームページで3年分を入手できます。

解説はありませんが、問題形式やレベルなどの把握には十分です。

ボーダーラインは何割くらいですか?

ボーダーラインは非公開であり、採用数や問題レベルによっても変動するため確かなことは言えませんが、合格者の情報提供や他サイトのデータから6~7割だと推測できます。

教養試験で高得点を目指して勉強するよりも、7割を安定して取れることが大切です。

筆記試験の対策は大切ですが、作文試験の結果も影響します。教養試験の点数だけでは合格できないことを理解してバランスよく対策しましょう。

今回は以上です。

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