入国警備官になるには?採用試験の難易度や概要、対策方法を徹底解説

入国警備官採用試験の難易度

国家公務員のひとつ「入国警備官」。

全国の出入国在留管理局や入国管理センターにおいて不法入国者や不法滞在者などの調査、摘発、護送などに従事します。

そんな入国警備官になるためには、人事院が行う公務員試験「入国警備官採用試験」に合格する必要があります。

とはいえ、合格に向けて対策を始めようと思っても、どんな試験なのか、難易度はどのくらいなのか知らないことには何もできませんよね。

そこで本記事では、入国警備官採用試験の難易度や難しさを解説します。

試験傾向や対策ポイントも紹介しているので、ぜひ参考に受験勉強を始めてみてくださいね。

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入国警備官になるには?採用試験の概要を解説します

入国警備官とは、全国の地入国在留管理局や入国管理センターなどで、不法入国者や不法滞在者などの調査、送還、施設警備などの業務に従事する国家公務員のことです。

入国警備官になるためには、人事院が行う公務員試験「入国警備官採用試験」に合格する必要があります。

受験資格(年齢制限)

入国警備官採用試験は、18歳から23歳の一般区分と24歳から40歳までを対象にした社会人区分の2つがあります。

それぞれの受験資格(年齢制限)は以下のとおり。

  1. 警備官:2023年4月1日において高校又は中等教育学校を卒業した日の翌日から換算して5年以内の者及び2024年3月までに卒業する見込みの者
  2. 警備官(社会人):1983年4月2日以降に生まれ、上記1に該当しない者

学歴や職歴は関係ありません。なので、条件に該当すれば誰でも受験できます。

試験日程

出願受付2023年7月18日~27日
一次試験2023年9月24日(日)
合格発表2023年10月11日(水)
二次試験2023年10月24日~26日の指定された日
最終合格2023年11月21日(火)

試験内容

試験は大きく「筆記試験」と「面接試験」に分類できます。

選考は段階式で行われ、まず一次選考で受験者をふるいにかけ人数を絞ります。その後、一次選考の合格者を対象に二次選考を行い最終合格者を決定するという流れです。

一次試験基礎能力試験(多肢選択式)
作文試験
二次試験人物試験(面接試験)
身体検査・測定
体力検査

最終合格するには筆記と面接の両方で点数を取ることが重要なので、いずれかの試験に偏った対策をするのではなく、計画を立ててバランスよく対策しましょう。

なお、入国警備官採用試験の内容は以下の記事でくわしく解説しています。

合格率

実施年度合格率受験者数合格者数
202220.6%846174
20216.0%1,08165
202026.6%1,501400
警備官、警備官(社会人)の合計

区分ごとの詳細は以下の記事でまとめています。

【難しい?】入国警備官採用試験の難易度

入国警備官採用試験の難易度・・・はそこまで高くありませんが、決して受かりやすいわけじゃないです。

試験問題は中学〜高校1年レベル

公務員試験の問題は、今までに勉強してきた内容が試験範囲です。

なので、高校までにきちんと勉強してきた人からすれば、それほど難しいわけではありません。

たとえば、次はメイン科目の一つである数的推理の問題です。

入国警備官の過去問

「速さ」という単元で、中学校1年生で学習するような問題です。

算数、数学が苦手な人は少し悩むかもしれませんが、少し勉強すれば思い出すのではないでしょうか。

たまに大学入試レベルの問題も出ていますが、多くは中学〜高校入試ぐらいの問題です。

ボーダーラインは5割~6割

採用者数や受験者レベルによって変動しますが、5~6割あれば筆記試験をパスできています。

同じ事務系国家公務員でも裁判所事務官は8割の正答率が必要なので、入国警備官のボーダーは低いことがわかりますね。

入国警備官のボーダーラインは以下の記事を参考にしてください。

試験科目が多い

ここまで解説したように、問題レベルやボーダーラインは大したことありません。

それなのに多くの受験者が悩んでいるのは、試験科目が多いからです。なんと21科目もあるんですよね…。

基礎能力試験の科目

分野科目
数的処理数的推理|判断推理|空間把握|資料解釈
文章理解現代文|英文|古文
社会科学政治|経済|社会|倫理
人文科学日本史|世界史|地理|国語|英語
自然科学数学|物理|化学|生物|地学

中学・高校受験でも5~7科目くらいですからね…約3倍はあるのです。

中学校から高校までに一度は学んだことのある科目ばかりだと思いますが、それをもう一回勉強しないといけないので…正直、キツイですね。

なお、入国警備官の試験科目は以下の記事で解説しています。

頭がいいだけでは合格できない

賢い(頭がいい)だけでは公務員になれません。

あなたがこれまでに経験してきた入学試験(中学・高校入試)や資格試験では、単純な学力だけが問われ、知識を詰め込んでいれば合格が狙えました。

しかし、採用試験の内容は筆記試験だけではありません。作文や面接もあるんですよね…。

『公務員になるための試験=就職試験』でもあるため、公務員としての適性・資質や人間性(コミュニケーション能力)も総合して評価されるのです。

採用試験の内容はこちら

えもと

単純に筆記の点数だけでは合格できないので、努力がそのまま結果に結びつかない難しさがあります。

モチベーション維持

対策はやることが多いので…まぁ、シンドイです。

合格するために必要な勉強時間は過去のデータから400時間~500時間ほど。1日2時間の勉強を約1年間続けるようなものです。

合格目標「500時間」の勉強計画

1日の勉強時間500時間に到達するまでの日数
2時間250日(約8ヶ月)
3時間166日(約5ヶ月)
4時間125日(約3ヶ月)

実際、合格を目指して勉強を始める人は多いですが、途中で挫折する人も相当多いです。100人いて30〜50人ぐらい、半分はいなくなります。

モチベーションを長期間保ちながら筆記対策も面接対策もする必要があるため、相当な覚悟が求められます。

想像してみてください、周囲が遊んでいる中で自分だけ勉強漬けの毎日、文化祭や部活動の誘いをシャットアウトしながら勉強に集中して高いパフォーマンスを維持しなければならないのです。

えもと

同じ志をもつ仲間を集めたり、合格後の姿を想像したりしてモチベーション維持を図ることが大事!

このように入国警備官採用試験は、問題が難しいというよりは、対策内容が多く、メンタルのコントロールが大変って感じですね。

入国警備官採用試験に落ちないためのコツ

確実に合格する方法はありませんが、少しでも合格率を上げるコツならあります

スキマ時間を有効活用する

始めにこれを伝えておかなければいけません。

公務員試験でとにかく大切なことは、『時間は無限ではない』ということです。

じゃあ具体的にどうやって時間を捻出するの?というと、『スキマ時間を有効活用する』という結論に達します。

  • 通学時間
  • 学校での休み時間
  • 食事の前後
  • 入浴時間
  • 寝る前の10分間 など

全てを使うのは難しくても、自分の生活スタイルに合わせてこの中のいくつかを取り入れるだけでも十分スキマ時間を活用できますよ。

たとえば1回20分のスキマ時間でも、1年で7,300分(約120時間)になります。

これが1日の中で3回(朝、昼、夜)繰り返されるだけで、年間365時間も勉強できることになりますよね。

最終合格までに必要な勉強時間は400~500時間なので、スキマ時間だけでも6~7割ぐらいの勉強ができてしまうのです。

出題傾向を理解してから勉強する

試験内容は幅広いですが、時間の多くを筆記対策に充てなければいけません

基礎能力試験の科目が多いのは説明しましたが、出題範囲も膨大です。なので、点が取れるまで時間がかかりますし、やり方によって差がつきやすいです。

科目・範囲ともに広範な基礎能力試験を攻略するには、出題傾向をきちんと理解することがポイントです。

基礎能力試験の勉強方法や出題傾向は以下の記事で解説しています。

作文を軽視しない

作文は基礎能力試験と違い独学では十分な対策ができません。

独学でできることは、

  • 過去問を見て傾向をつかむ
  • 参考書を読んで『書き方』を学ぶ
  • 時間を計って書く

くらいしかできないんですね。

十分じゃないの?と思ったかもしれませんが、作文は自力で答案を書く練習をしないと書けるようになりません。

そして、実際に書いた答案を学校の先生や予備校講師などに添削してもらうことでしか改善点(テーマのズレや誤字脱字、文法の誤りなど)に気づけないので、まったく十分じゃありません。

たとえるなら、Youtubeでホームランの打ち方を学び、懸命に素振りを重ねてもいきなり実践でホームランが打てないのと同じです。

コーチからアドバイスをもらい修正と検証を繰り返すことで、なんとか打てるようになりますよね。対策を後回しにすればするだけ合格から遠のいていくことは覚えておいてくださいね。

面接対策を試験日の2ヵ月前から始める

最終合格するには、面接試験の評価も必要になってきます。

そのため筆記試験の勉強だけに時間を費やしても最終合格できませんし、今まで面接を受けたことのない初心者が合格基準に達するには、繰り返し練習する必要があるため、かなりの時間が必要です。

すでに面接でA、B評価をもらえる人なら一次試験が終わってからでも十分間に合うかもしれませんが、面接に自信を持てない人がマネすると確実に落ちてしまいます。

面接試験で評価を得るには準備が必要です。長所短所を考えたり、志望動機を考えたり…と、かなり時間がかかりますよ。

使える時間は限られているので、以下の記事を参考にして早めに面接対策もやってくださいね。

まとめ:入国警備官採用試験は難しいけどやり方次第で合格可能

本記事では、入国警備官採用試験の難易度や受かるためのコツを解説しました。

難易度だけで考えれば、入国警備官採用試験はそんなに難しくないです。試験問題は中学〜高校レベルですし、ボーダーも大したことないですからね。

しかし、合格するのは簡単ではありません。

と、試験内容が難しいというよりは、対策内容が多く、メンタルのコントロールが大変って感じですね。

「これをやれば確実に合格できる」という方法はありませんが、「効率よく対策するために意識するポイント」はあります。

具体的には以下の4つ。

このようなポイントを踏まえて対策できれば短期間でも十分に合格を狙えます!

小難しい話になりましたが、要は、対策は難しいけど効率よく勉強すれば合格は余裕だよ!ってことです。焦る必要はないので、やれることから少しずつやっていきましょう。

この記事が少しでもお役に立てたら幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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この記事を書いた人

公務員試験の指導を12年間やっています。新卒で大手専門予備校に就職→公務員課で5年間勤務、在職中に公務員試験を受験するも不合格→退職→公務員試験の勉強→国立大学法人、政令市、市役所に合格→現在、某大学の職員として7年目。 2018年6月からサイトを運営中。普段はカフェで珈琲飲んでます。

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