高校生(高卒者)・大学生(大卒者)・社会人が入国警備官になるには、人事院が行う公務員試験のひとつ「入国警備官採用試験」に合格しなければなりません。
この採用試験ですが…結論をいうと、難易度は高くないです。
でも、合格するのは簡単ではありません。
本記事では、入国警備官採用試験に関する下記の情報を紹介します。
- 入国警備官採用試験の難易度
- 入国警備官採用試験が難しい理由
- 入国警備官採用試験に合格する方法
「これから入国警備官を目指したい」「受験勉強を始めたばっかり」という高校生や大学生、社会人の方は参考にしてください。
*試験概要や内容は「【内容と傾向】入国警備官採用試験対策の教科書【一次・二次】」で紹介しています。初めて受験する人は合わせてチェックしましょう。
入国警備官採用試験の難易度
入国警備官採用試験の難易度は決して高くないです。
理由は以下のとおり。
- 試験問題は中学〜高校レベル
- 合格ラインは4~5割程度
- 倍率は2~3倍
試験問題は中学〜高校1年レベル
公務員試験の問題は、今までに勉強してきた内容が試験範囲です。なので、高校までにきちんと勉強してきた人からすれば、それほど難しいわけではありません。
たとえば、次はメイン科目の一つである数的推理の問題です。

「速さ」という単元で、中学校1年生で学習するような問題です。算数、数学が苦手な人は少し悩むかもしれませんが、少し勉強すれば思い出すのではないでしょうか。
たまに大学入試レベルの問題も出ていますが、多くは中学〜高校入試ぐらいの問題です。
【最新】入国警備官採用試験の過去問と使い方【問題・解答】」で紹介しています。
入国警備官の過去問は、「ボーダーラインは5割〜6割程度
採用者数や地域によって変動しますが、5割〜6割あれば筆記試験をパスできています。

2022年のボーダーは高卒・大卒区分は22/40問、社会人は23/40問だったよ!
同じ事務系国家公務員でも裁判所事務官は8割の正答率が必要なので、入国警備官のボーダーはそんなに高くないことがわかりますね。
入国警備官(高卒、大卒・社会人)のボーダーラインは何割?合格点を取るポイントを解説」で詳しくまとめています。
入国警備官のボーダーラインは、「倍率は普通
年度によって差はありますが平均5倍前後です。
採用年度 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
---|---|---|---|
令和4年度 | 846 | 174 | 4.9 |
令和3年度 | 1,081 | 65 | 16.6 |
令和2年度 | 1,501 | 400 | 3.8 |
令和元年度 | 1,072 | 137 | 7.8 |
平成30年度 | 978 | 185 | 5.3 |
この数値の中には、まともに対策していない人も多く含まれているので、実際はもっともっと低いです。
高卒公務員の倍率は10倍を超えることが多いので、倍率からも”入国警備官の難易度はそんなに高くない”と言えるでしょう。
【2023年最新】入国警備官採用の倍率【高卒・大卒・社会人別】」で詳しくまとめています。
入国警備官の倍率は、「


こんな感じで、入国警備官採用試験の難易度はそこまでハードじゃありません。
入国警備官採用試験の難易度は高くないが難しい理由
入国警備官採用試験の難易度は高くありませんが、決して受かりやすいわけじゃないです。
理由は以下の3つ。
- 競争試験だから
- 試験科目が多いから
- 頭がいいだけでは合格できない
競争試験だから
入国警備官採用試験は、一定数の採用枠に対して、成績上位者から順に合格が決まる競争試験です。そのため、受験者全員が合格できるわけではなく、ライバルたちとの競争によって合否が決まります。
また、資格試験(英検や漢検など)であれば合格ラインはある程度決まっていますが、競争試験の場合は、採用人数や受験者数によって変動するのです。


そのため、どの程度の点数を目指せばよいかが判断しにくく、努力がそのまま結果につながらない、という難しさがあります。
試験科目が多いから
入国警備官の試験科目は5分野21科目あります。
分野 | 科目 |
---|---|
数的処理 | 数的推理|判断推理|空間把握|資料解釈 |
文章理解 | 現代文|英文|古文 |
社会科学 | 政治|経済|社会|倫理 |
人文科学 | 日本史|世界史|地理|国語|英語 |
自然科学 | 数学|物理|化学|生物|地学 |
高校・大学入試の約3倍の科目数なので、対策には相当な時間が必要です。そのため、受験者にとっては大変な試験の一つと言えるでしょう。
問題レベルは、中学校から高校までに学んだことのある内容ばかりですが、それをもう一回勉強しないといけないので簡単ではありません。
やみくもに勉強を始めるのではなく、出題傾向を理解して効率よく勉強することがポイントです。
頭がいいだけでは合格できない
入国警備官採用試験では、知識や学力だけでなく、入国警備官・社会人としての適性・資質や人間性(コミュニケーション能力)も評価されます。
つまり、単純な学力だけでなく、多角的な能力が求められることになります。
これまでの入学試験や資格試験では、知識を詰め込んでいれば合格できたものが、入国警備官採用試験では、能力を総合的に評価されるため、単に知識を詰め込んでいるだけでは合格できないのです。
最終合格者の決定方法
第1次試験合格者のうち、作文試験、人物試験、身体検査、身体測定及び体力検査に合格した者について、基礎能力試験の得点に基づいて最終合格者を決定します。
2023年度入国警備官採用試験の合格者の決定方法(人事院)
つまり、どれだけ筆記試験の点数が高くても、作文や面接で一定の評価を得られないと最終合格に至らない可能性があるということ。
何かの試験に偏った対策をするのではなく、どの試験科目もバランスよく対策しましょう。
入国警備官の試験内容は次の記事で詳しくまとめています。


入国警備官採用試験に受かるためのコツ
入国警備官採用試験に合格するには、しっかりとした対策が必要です。これから対策を始めるためのポイントを3つ紹介します。
スキマ時間を有効活用する
始めにこれを伝えておかなければいけません。
公務員試験でとにかく大切なことは、『時間は無限ではない』ということです。
じゃあ具体的にどうやって時間を捻出するの?というと、『スキマ時間を有効活用する』という結論に達します。
- 通学時間
- 学校での休み時間
- 食事の前後
- 入浴時間
- 寝る前の10分間 など
全てを使うのは難しくても、自分の生活スタイルに合わせてこの中のいくつかを取り入れるだけでも十分スキマ時間を活用できますよ。
これが1日の中で3回(朝、昼、夜)繰り返されるだけで、年間365時間も勉強できることになりますよね。
最終合格までに必要な勉強時間は400~500時間なので、スキマ時間だけでも6~7割ぐらいの勉強ができてしまうのです。
基礎能力試験は効率よく勉強する
数ある試験の中でも、基礎能力試験は厄介な試験科目の一つです。
5分野21科目から出題があり、範囲も広いため、やみくもに勉強を進めると相当な時間がかかってしまいます。



僕自身、最初から最後まで勉強して大変なことになりましたからね…。
まずは、各科目の出題傾向を理解し、必要な科目から重点的に勉強することがポイントです。
【簡単】入国警備官の勉強法!基礎能力試験の科目と出題傾向」で詳しく解説しています。
具体的な科目や出題傾向については、「作文対策を後回しにしない
作文は、公務員として必要とされる表現力や思考力を評価するもので、最終合格するには対策が必要です。
作文試験の対策は、過去問題に取り組むことが一番効果的。また、日常的に読書をすることで、語彙力を増やしたり、表現力を高めたりすることもできます。
入国警備官採用試験の作文とは?傾向や過去テーマを徹底解説」を参考にしてください。
過去のテーマや傾向は、「早めに面接対策の準備を始める
口述試験(個別面接)では、入国警備官になりたい志望動機や過去の経験、今後のキャリアプランなど、あなたに関する質問が多く問われます。
対策としては、まずは自己分析を行い、自分の長所や短所を把握することが重要です。仕事内容を調べたり、模擬面接を受けて話し方や表現力を確認したりと、面接対策は、とにかくやることが多いです。
また、繰り返しになりますが、最終合格するには面接試験の結果が必要です。なので、筆記試験の勉強だけやっていても合格できません。それなりに面接練習もする必要があるのです。
面接力をある程度のレベルにもっていくには時間がかかるので、早めに準備を始めることがポイントです。
入国警備官採用試験の面接対策!過去の質問内容と傾向を徹底解説」で詳しくまとめています。ぜひ、参考にしてください。
面接試験の傾向や過去問は、「以上のように、入国警備官に合格するためには、効率的な勉強方法を取り入れると同時に、作文や面接にも時間をかけて取り組むことが大切です。
まとめ:入国警備官になるには戦略が必要
本記事では、入国警備官採用試験の難易度や受かるためのコツを解説しました。
難易度だけで考えれば、入国警備官はそんなに難しくないです。試験問題は中学〜高校レベルですし、倍率も3倍程度ですからね。
しかし、合格するのは簡単ではありません。
「これをやれば確実に合格できる」という方法はありませんが、「効率よく対策するために意識するポイント」はあります。
具体的には以下の4つ。
このようなポイントを踏まえて対策できれば短期間でも十分に合格を狙えます。適当に勉強を進めるのではなく、試験内容や傾向ををきちん理解してから効率よく行いましょう。
この記事が少しでもお役に立てたら幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!