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公務員試験の一つ「警視庁警察官採用試験」。
警視庁の警察官になるには、この採用試験に合格しなければなりません。
この採用試験ですが…結論をいうと、難易度は高くないです。
でも、合格するのは簡単ではありません。
今回は、警視庁採用試験の難易度や内容を徹底解説します。
本記事を読めば「試験の難易度から最終合格するには何をすればいいかまで」網羅的に理解できますよ。
「これから警視庁警察官を目指したい」「受験勉強を始めたばっかり」という高校生や大学生、社会人の方は参考にしてください。
警視庁採用試験の内容
大学生・高校生・社会人が警視庁の警察官になるには、「警視庁警察官一類(三類)採用試験」に合格しなければなりません。
まずは、受験資格や試験科目などの内容を解説します。
受験資格(年齢制限)
学歴によって、受験区分が異なります。
詳細は次のとおり。
受験区分 | 受験資格 |
---|---|
一類 | 昭和63年4月2日以降に生まれた人で大学(学校教育法による大学(短期大学を除く。))を卒業又は令和6年3月までに卒業見込みの人 |
三類 | 昭和63年4月2日以降に生まれた人で高校を卒業又は令和6年3月までに卒業見込みの人 |
採用予定人数
令和5年度採用試験(2023年実施)では、全区分あわせて1,100人の採用を見込んでいます。
詳細は次のとおり。
区分・性別 | 令和5年度 | 令和4年度 | |
---|---|---|---|
一類 | 男性 | 570 | 570 |
女性 | 230 | 230 | |
三類 | 男性 | 200 | 200 |
女性 | 100 | 100 |
試験日程
警視庁採用試験は、年に2〜3回の選考を行なっています。
各試験日は次のとおり。
一類 | 第1回 | 令和5年4月29日(土) |
---|---|---|
第2回 | 令和5年9月17日(日) | |
第3回 | 令和6年1月7日(日) | |
三類 | 第2回 | 令和5年9月16日(土) |
第3回 | 令和6年1月7日(日) |
警視庁採用試験の日程について、詳しくは次の記事で解説しています。
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試験科目
警視庁採用試験は「警察官になる(就職する)ための試験」なので、筆記試験だけでなく人物試験(面接)も実施されます。
一次試験 | 教養試験 |
---|---|
論作文試験 | |
国語試験 | |
適性検査 | |
二次試験 | 面接試験 |
身体検査 | |
体力検査 |
筆記試験で良い点数を取っても、面接試験や論作文試験で評価を得られなければ合格できません。試験内容や傾向を把握し、効率よく対策することが重要です。

傾向と対策方法は後述しています。ぜひ、参考にしてください。
実施状況
警視庁採用試験は、全国から受験者が集まるため倍率は高くなりがちです。
直近5年間の実施状況は次のとおり。
実施年 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
---|---|---|---|
令和4年 | 10,746 | 1,538 | 7.0 |
令和3年 | 7,695 | 1,263 | 6.1 |
令和2年 | 5,939 | 1,103 | 5.4 |
令和元年 | 13,569 | 1,917 | 7.1 |
平成30年 | 15,120 | 2,339 | 6.5 |
他の公務員試験に比べれば倍率は高いですが、10倍を超える試験がたくさんあることを考えれば合格できない数値ではありません。
しかも、この数値の中にはまともに対策していない人も多く含まれています。そのため、実質的な倍率はもっと低いと言えるでしょう。
警視庁採用試験の倍率について、詳しく(区分ごとの結果など)は次の記事で解説しています。


警視庁採用試験の難易度
結論、警視庁の難易度は高くないです。しかし、合格するのは簡単ではありません。
これを詳しく解説します。
試験問題は中学から高校1年レベル
筆記試験の問題は、学校で勉強してきた内容です。
たとえば、次はメイン科目の一つである数的推理の問題。


「速さ」という単元で、中学校1年生で学習する内容です。なんとなく覚えているのではないでしょうか。
たまに大学入試レベルの問題も出ていますが、多くが中学〜高校入試レベルの問題です。
ボーダーは5割程度
受験者の多くは筆記試験(教養試験)に苦労しますが、5割程度の点数があればパスできます。
高校・大学入試のように高得点が取れなくても合格できているので、チャレンジしやすい試験といえます。
全員は合格できない
しかし、警視庁採用試験は一定数の採用枠に対して、成績上位者から順に合格が決まる競争試験です。
そのため、受験者全員が合格できるわけではなく、ライバルたちとの競争によって合否が決まります。
資格試験(英検や漢検など)であれば偏差値の高い人が何人いても基準点を取れれば合格できますが、競争試験では偏差値の高い人たちよりも1点でも多くの点数を取らなければ合格できないのです。



受験者の大半が東大生だったら勝てる気がしないですよね…。
人物重視(面接が重要)
また、最終合格するには、知識や学力だけでなく、警察官としての適性・資質や人間性(コミュニケーション能力)も必要です。
つまり、単純な学力だけでなく、多角的な能力が求められることになります。
これまでの入学試験や資格試験では、知識を詰め込んでいれば合格できたものが、警視庁採用試験では、能力を総合的に評価されるため単に知識を詰め込んでいるだけでは合格できないのです。
何かの試験に偏った対策をするのではなく、どの試験科目もバランスよく対策しましょう。



単純に筆記試験の点数を取れば合格できるものではなく、面接・論作文などによる人間性が最重視されるため、努力がそのまま結果に結びつかない難しさがあるんですよね。
警視庁採用試験の傾向と対策
ここでは、警視庁採用試験の傾向や対策方法を解説します。
教養試験
教養試験は、 計算力や読解力を測る『一般知能』と、今までに勉強してきた基礎学力を測る『一般知識』で構成される筆記試験です。
区分 | 一類 | 三類 |
---|---|---|
試験時間 | 120分 | 120分 |
問題数 | 50問 | 50問 |
レベル | 大卒程度 | 高卒程度 |
出題形式 | 択一式 | 択一式 |
解答方式 | マークシート | マークシート |
警視庁採用の難易度でも解説したように、問題レベルは大したことありません。しかし、出題科目数が多いため厄介な試験なんですよね。
出題科目
分野 | 試験科目 | |
---|---|---|
一般知能 | 数的処理 | 数的推理|判断推理|空間把握|資料解釈 |
文章理解 | 現代文|英文 | |
一般知識 | 社会科学 | 政治|経済|社会|倫理 |
人文科学 | 日本史|世界史|地理|国語|英語 | |
自然科学 | 物理|化学|生物|地学 |
大学入試の3倍(19科目)もありますし、1科目あたりの出題範囲も広いです。
やみくもに勉強を進めると相当な時間がかかってしまうので、どの分野が多くでるのか、どの分野は苦手なのか、出題傾向を理解したうえで勉強することがポイントです。
警視庁採用試験の教養試験について、詳しくは次の記事で解説しています。


論作文
論作文試験とは、課題に沿って文章を書かせることで、受験者の考え方や熱意といった人間性を総合的に判断する記述式の試験です。
区分 | 一類 | 三類 |
---|---|---|
内容 | 論文 | 作文 |
試験時間 | 80分 | |
文字数 | 1,000字以内 |
ただ単に文章を書ければいいのではなく、 課題を正しく読み取り、自分の経験や体験を盛り込みつつ説明できているかといった知識の総合的な応用力が問われます。
問題例
これまで最も苦労した経験に触れ、そこから学んだことをどのように警察官の仕事に活かしていきたいか述べなさい。
論作文は、自分では文章が書けると思っていても、意外に書けなかったり、書けた(気になった)としても課題に対してまったく十分な解答にはならないことはよくあります。
勉強すればしただけ成果が見える筆記試験とは違い、客観的な評価(添削してもらうこと)でしか習熟度がわからないため、なんとも厄介な試験といえるでしょう。
毎年、論作文で評価がもらえずに不合格となる受験者は一定数いるので、苦手意識が強い人は早めに準備をしてください。
警視庁採用試験の論作文について、詳しくは次の記事で解説しています。


国語試験
国語試験は、警察官・社会人としてとして知っておくべき「国語力(漢字の読み書き)」を問う筆記試験です。
区分 | 一類 | 三類 |
---|---|---|
試験時間 | 20分 | 20分 |
問題数 | 50問 | 50問 |
レベル | 漢検2級 | 漢検準2級 |
出題形式 | 択一式 | 択一式 |
配点は1問1点として計算されるので、できるだけ満点を狙って勉強することが重要です。
国語試験は、教養試験や論作文と違い、やれば確実に点数が取れる試験です。教養試験の物理や化学を頑張るよりも、国語試験で満点を取ったほうが総合点は高くなりますよ!
いきなり多くの漢字を勉強することは難しいので、1日に数問をコンスタントにやっていきましょう。
警視庁採用試験の国語試験について、詳しくは次の記事で解説しています。
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面接試験
面接試験は、志望動機や自己アピールなどを問うことで、あなたが警察官として相応しいかどうかを評価・判断する人物面に関する試験です。
試験時間 | 30分〜40分 |
---|---|
面接官 | 3人 |
受験者の人柄や対人能力(コミュニケーション)をみるための試験で、個人面接により行われます。
質問例
- 自己紹介をしてください。
- 志望動機を言ってください。
⇒なぜ警視庁を志望するのですか。
⇒警視庁のイメージを言ってください。 - 長所と短所を簡潔に言ってください。
- 趣味はありますか。
⇒どのくらいやっていますか。
⇒なぜ始めたのですか。 - 語学はどのくらいできますか。
⇒これから極めたい語学はありますか。 - 友人はどれくらいいますか。
⇒友人からどのように思われていると思いますか。
⇒親友の名前と漢字を教えてください。
面接試験を軽視する人は多いですが、筆記試験が満点でも面接の評価が悪いと最終合格できません。
【最終合格者の決定方法】
募集要項より
試験の最終結果は、第1次及び第2次試験の結果を総合的に判定し、決定されます。
面接試験は筆記試験と違い、どのような対策をすれば良いのかが分かりにくく、努力がそのまま結果に繋がらない不透明な試験です。
勉強時間の多くを教養試験や論作文に充てるのは正しいですが、面接対策を後回しにしたため落ちてしまった人を何人もみてきました。
そんな不幸な結末を迎えないためには、筆記対策と並行して面接練習を行うことが重要です。
警視庁採用試験の面接試験について、詳しくは次の記事で解説しています。


警視庁採用試験でよくある質問FAQ
最後に、よく相談される質問に回答します。
警視庁になるには戦略が重要
難易度だけで考えれば、警視庁採用試験に受かることはそんなに難しくないです。
試験問題は中学〜高校レベルですし、合格ラインも5〜6倍程度ですからね。
しかし、単純に筆記試験の点数を取れば合格できるものではなく、面接・論作文などによる人間性が最重視されるため、努力がそのまま結果に結びつかない難しさがあるんですよね。
適当に勉強を進めるのではなく、試験内容や傾向ををきちん理解してから効率よく行うことが大切です。
本サイトでは、警視庁警察官採用試験合格に必要な情報を多く配信しています。
ぜひ、参考にして対策を始めてくださいね。