海上保安学校学生採用試験の一次試験で実施される基礎能力試験。
試験科目・範囲が膨大なので、「何から勉強すればいいの?」と悩んでいる方はとても多いです。
本記事では、海上保安学校の基礎能力試験に関する下記内容を解説します。
- 基礎能力試験の概要
- 基礎能力試験の科目と問題例
- 基礎能力試験の出題傾向
- 基礎能力試験の勉強法
「基礎能力試験はどんな科目・傾向なのか」「基礎能力試験の効率的な勉強方法が知りたい」という方は、ぜひ参考にしてください。
試験の概要を知ることは、合格への第一歩。まずは、基礎能力試験がどんなものか、大まかにつかんでいきましょう。
※その他、海上保安学校の試験情報は「【内容と傾向】海上保安学校対策の教科書【一次・二次】」でまとめています。初めて受験する人は参考にしてください。
【概要】海上保安学校の基礎能力試験とは
基礎能力試験は、一次試験で行われる筆記試験の一つです。
配点比率は異なりますが、すべての課程(コース)が同じ問題を解きます。
区分 | 船舶運行 (特別、9月試験) | 航空、情報他 |
---|---|---|
試験時間 | 90分 | |
問題数 | 40問(全問必答) | |
出題形式 | 択一式(マークシート) | |
レベル | 高校卒業程度 | |
配点比率 | $$\frac{3}{4}$$ | $$\frac{3)}{8}$$ |
受験者の思考力や判断力を測る試験のため、速読・速答が求められれます。
単純計算すると、1問にかけられる時間はわずか2分ほど。マークシートへの記入や見直しの時間も考えると、テンポよく解答していくことが必要です。
実際に、時間が足りずに問題を解ききれない人は少なくありません。本番での時間配分を考えながら事前に過去問題集で練習しておくなど、十分な対策を取りましょう。

僕は最初に一般知識を1問1分かけずに片付けて、残った時間で一般知能をじっくり考えるという戦略をとっていましたよ!
海上保安学校 基礎能力試験の出題科目
基礎能力試験は、 計算力や読解力を測る『一般知能』と、今までに勉強してきた基礎学力を測る『一般知識』で構成されています。
一般知能 | 数的処理 | 数的推理|判断推理|空間把握|資料解釈 |
---|---|---|
文章理解 | 現代文|英文|古文 | |
一般知識 | 社会科学 | 政治|経済|社会|倫理(思想) |
人文科学 | 日本史|世界史|地理|国語|英語 | |
自然科学 | 数学|物理|化学|生物|地学 |
このように中学~高校までに学んだ内容から多く出題されるので、”科目の多い大学入試共通テスト“だと思いましょう。
共通テストとの大きな違いは科目選択の有無でして、例えば共通テストであれば、社会なら日本史か世界史、理科なら物理か生物のように、受験に必要な科目を選択して試験を受けられます。
しかし、基礎能力試験では全科目が必須です。
なので、社会なら日本史も世界史も、理科なら物理も生物もすべて勉強しないといけません。
問題例(過去問チャレンジ)
次の問題を解いてみましょう!
制限時間は5分間です。
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正解はこちら(タップ)
正解:3
【過去問】海上保安学校の試験問題と解答【使い方と目的も解説】」で紹介しています。
過去問の入手方法や使い方は、次の「-1-300x169.png)
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海上保安学校 基礎能力試験の出題傾向
基礎能力試験の科目は多いですが、問題数は科目によって異なります。
次の科目別出題数一覧を参考にして、どの科目から手をつけるのか考えてみましょう。
科目別出題数一覧
科目 | 出題数 |
---|---|
数的推理 | 5 |
判断推理 | 4 |
空間把握 | 2 |
資料解釈 | 2 |
現代文 | 4 |
英文 | 2 |
古文 | 1 |
政治 | 2 |
経済 | 2 |
社会時事 | 1 |
倫理 | 1 |
科目 | 出題数 |
---|---|
日本史 | 1 |
世界史 | 2 |
地理 | 2 |
国語 | 2 |
英語 | 2 |
数学 | 1 |
物理 | 1 |
化学 | 1 |
生物 | 1 |
地学 | 1 |
令和4年度試験より
※特別、9月試験共通。
※上記の科目別出題数は僕自身の解釈であり、公式発表されたものではありません。
まずは出題数の多い数的推理や判断推理から勉強を始めるといいでしょう。
過去10年間の頻出分野を科目別にまとめた一覧を次の記事で公開しています。
なお、◾️特別(10月入校)


◾️船舶、航空、情報、管制、海洋科学





上記の記事を読めば「どこから勉強すればいいの?」という悩みを即解決できるので、ぜひ参考にしてください。
海上保安学校 基礎能力試験の勉強法
海上保安学校の試験科目は21科目もあるため、限られた時間のなかで全科目を勉強するのは難しいです。
以下のポイントを意識して効率よく対策しましょう。
- 出題数の多い科目から勉強
- 頻出分野から着手
- 復習メインでインプット&アウトプット
出題数の多い科目から勉強
年度によって変動しますが5割がボーダーラインです。なので、40問中20問くらい正解できれば一次試験をクリアできます。
そう考えたときに、出題数の多い科目が重要になるとわかるはず。出題数の多い科目で得点できなければ、20問に達するのは難しくなりますからね。
上記で紹介した科目別出題数一覧を参考に、まずは数的推理と判断推理、そして社会科学を優先的に勉強するといいでしょう。これらの科目だけで全体の約4割を占めています。
- 数的推理:5問
- 判断推理:4問
- 社会科学:6問
合計:15問 / 40問中(37.5%)
逆にここで点が取れないと他の科目に負担がのしかかるので気をつけてください。
出題数が少ない科目に時間をかけても総合点は上がりません。すべてを勉強して中途半端になるよりも、まずは出題数の多い科目を確実に正解することが大切です。
頻出分野から着手
科目によって出題数に大きな違いがあるだけでなく、科目内においても頻出分野とそうでないものがあります。
たとえば、一般的な公務員試験だと”世界史はイギリス史や中国史が頻出分野“です。各種参考書や予備校でもそう言われています。
しかし、海上保安学校ではほとんど出ていません(下図参照)。


なので、一般的な情報を鵜呑みにしてイギリス史や中国史に時間をかけても時間の無駄です。
反対に現代分野はよく出ています。なので時間をかけてでも覚えると効率的。


やみくもに取り組むのではなく出題傾向を見極めて効率的に勉強を進める意識が大切です。
出題範囲を知る(過去問分析する)のは簡単ではありませんが、出ない分野をどれだけ勉強しても0点なので、メンドーですがやりましょう!
過去10年間の頻出分野を科目別にまとめた一覧を次の記事で公開しています。手っ取り早く傾向が知りたい方は参考にしてください。
なお、◾️特別(10月入校)


◾️船舶、航空、情報、管制、海洋科学


復習メインでインプット&アウトプット
また、勉強において重要なのは先に進むことよりもどれだけ復習をしたかということです。
復習するタイミングですが、僕は勉強した箇所は3日連続で見るというルールで覚えていきました。要するにその日に解いた問題は短いスパンで3回見るというものです。
1日目 | 問題1〜10をやる |
---|---|
2日目 | 問題1〜10を見直して、問題11〜20をやる |
3日目 | 問題1〜20を見直して、問題21〜30をやる… |
とくに重要なのが翌日の復習。
勉強した次の日に復習しないだけで一気に知識の定着が悪くなります。記憶の法則で有名なエビングハウスの忘却曲線でも人間の記憶力は翌日にガタ落ちすることが立証されていますからね。
最初のうちはけっこうシンドイですが、1カ月ほど続けてみれば結果が見えてくるので、反復練習を意識して勉強していきましょう。
海上保安学校 基礎能力試験でよくある質問FAQ
最後に、よく相談される内容に回答します。
- オススメの参考書はありますか?
- 過去問はどこで入手できますか?
- ボーダーラインは何割ですか?
Q1.オススメの参考書はありますか?
- オープンセサミ
- スーパー過去問ゼミ
この2冊をやれば十分です。
オープンセサミ(参考書)
公務員予備校東京アカデミーが監修している”初心者〜中級者向け“の参考書です。
情報量が豊富でこれ1冊を覚えるだけでかなりの点数が取れます。
しかし、無駄な情報もそれなりに含まれているので出題範囲を絞って使いましょう。


スーパー過去問ゼミ
実務教育出版が監修している”上級者向け”の参考書です。
要点が絞られており問題+解説という構成で勉強しやすい。
情報量はやや少なめなので、ある程度知識のある方や一通り勉強を終えた方には最適ですが、まったくの初心者がこれ1冊だけで試験に臨むのはリスクが高いかもです。


Q2.過去問はどこで入手できますか?
人事院に行政文章開示請求をすることで入手できますが、初心者にはハードルが高いです。
なので、手っ取り早く問題がほしいなら下記をオススメします。
- 海上保安大学校 海上保安学校採用試験問題集ーその傾向と対策
- 【海上保安学校】基礎能力試験の教科書【過去10年間の出題範囲】
海上保安大学校 海上保安学校採用試験問題集
海上保安学校の概要から過去に実施された採用試験問題と模範解答(作文試験を除く)を収録した1冊です。
収録されている問題年度が古い(2020年〜2017年)、値段が高め(¥3,630)という欠点はあるものの、全体的に海上保安学校を知れます。


【海上保安学校】基礎能力試験の教科書【過去10年間の出題範囲】
科目別・分野別の出題傾向表と過去に実施された採用試験問題・解答を収録したオリジナルのnote。
お値段は少し高いかも(¥2,980)ですが、過去10年間の出題範囲や最新年度を含む過去問が入手できるので、誰にでもオススメできる1冊です。
◾️特別(10月入校)


◾️船舶、航空、情報、管制、海洋科学


Q3.ボーダーラインは何割ですか?
6割(24/40問)あれば十分合格できます。
ボーダーラインは年度によって変動するため一定ではありませんが、例年5割前後で推移しています。なので、最低5割を目安に6割〜7割取れるように準備してください。
【点数表あり】海上保安学校の合格ラインは何割?対策ポイントも解説」で詳しくまとめています。
海上保安学校のボーダーラインは、「

基礎能力試験は出題傾向を知れば楽勝です。
海上保安学校の基礎能力試験は、高校までにきちんと勉強してきた人からすればそれほど難しいわけではありません。
それなのに多くの受験者が悩んでいるのは、試験科目・範囲が膨大だからです。
事実、「科目が多くて何から勉強すればいいか分からない」という相談・お問合せが相当多いんですよね。
基礎能力試験を効率よく勉強するには、出題範囲の理解(=過去問分析)がとても重要です。必要な科目・分野に沿って勉強すれば、これまでよりずっとラクに合格点を超えるようになると僕は考えます。
合格点は5割程度です。そんなに高くありません。なので、闇雲に無駄な勉強をするのではなく、過去の出題傾向を軸に勉強してください。
まずは科目ごとの出題範囲を理解する。
そこから始めていきましょう!
過去10年間の頻出分野を科目別にまとめた一覧を次の記事で公開しています。
◾️特別(10月入校)


◾️船舶、航空、情報、管制、海洋科学





上記の記事を読めば「どこから勉強すればいいの?」という悩みを即解決できるので、ぜひ参考にしてください。