海上保安庁の各分野における専門職員を養成する教育機関「海上保安学校」
そんな海上保安学校に入るにはどうすればいいのでしょうか。
結論、人事院が実施する「海上保安学校学生採用試験」に合格すること。
本記事では、そんな海上保安学校学生採用試験に関する以下の内容を紹介します。
- 海上保安学校の概要や偏差値
- 海上保安学校の難易度
- 海上保安学校に合格するのが難しい理由
- 海上保安学校の対策方法
海上保安学校に入る方法や対策について網羅的に理解できますよ。
「これから海上保安官を目指したい」「受験勉強を始めたばっかり」という高校生や大学生、社会人はぜひ参考にしてください。
高卒や大卒で海上保安学校に入るには
海上保安学校は、海上保安庁の各分野における専門職員を養成する教育機関です。
この海上保安学校に入るには、人事院が実施する「海上保安学校学生採用試験」に合格することが必須条件。

海上保安学校に入ると1年〜2年間の専門教育を受けます。
卒業後は、巡視船艇の乗組員等として、日本全国に配属され、希望と適性に応じ、潜水士や国際取締官といった各分野のエキスパートとして進むことも可能です。
また、業務経験と選抜試験により、海上保安大学校での研修を経て、幹部へ登用される道も開かれています。
海上保安学校の偏差値
結論、海上保安学校(大学校)に偏差値はありません。
なぜなら、一般的な大学入試とは内容も科目も異なる試験だからです。
英語検定や漢字検定を受験するときに偏差値なんて調べないですよね。それと同じ。
したがって、高校や大学とは違い予備校が出すような偏差値という指標はないのです。
海上保安学校学生採用試験の実施状況
2022年に実施された令和4年度海上保安学校学生採用試験の最終倍率は4.5倍でした。
区分 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
---|---|---|---|
海上保安学校 (特別) | 5,344 | 1,026 | 5.2 |
海上保安学校 | 2,175 | 647 | 3.4 |
合計 | 7,519 | 1,673 | 4.5 |
この数値の中には、まともに対策していない人も多く含まれているので、実際はもっともっと低いです。
地方公務員(県や市)の倍率は10倍を超えることが多いので、数値だけ見れば”海上保安学校は受かりやすい”と思われても仕方ないですね。
なお、課程(コース)別の結果や過去の推移はこちらの記事で詳しくまとめています。

海上保安学校の難易度
海上保安学校の難易度は決して高くないです。
理由は以下のとおり。
- 試験問題は中学〜高校レベル
- 合格ラインは4~5割程度
試験問題は中学〜高校1年レベル
海上保安学校の入試問題は、あなたが今までに学んだ内容から出題されます。
なので、高校までにきちんと勉強してきた人からすれば、それほど難しいわけではありません。
たとえば、次はメイン科目の一つである数的推理の問題です。
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算数、数学が苦手な人は悩むかもしれませんが、少し勉強すれば思い出すのではないでしょうか。
たまに大学入試レベルの問題も出ていますが、多くは中学〜高校入試レベルの問題です。
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ボーダーラインは5割程度
受験年度や採用人数によって変動しますが、ボーダーラインは5割程度です。
同じ公務員試験でも、裁判所事務官は最低8割必要ですし、東京消防庁も7割程度。比較すると海上保安学校のボーダーラインは大したことありません。
5割程度の点数であれば、傾向に沿って勉強すれば十分に取れるので、そこまで難度は高くないでしょう。


こんな感じで、海上保安学校の難易度はそこまでハードじゃありません。
海上保安学校に合格するのは難しい理由
海上保安学校の難易度は高くありませんが、決して受かりやすいわけじゃないです。
理由は以下の3つ。
- 競争試験だから
- 試験科目が多いから
- 頭がいいだけでは合格できない
競争試験だから
海上保安学校は、一定数の採用枠に対して、成績上位者から順に合格が決まる競争試験です。そのため、受験者全員が合格できるわけではなく、ライバルたちとの競争によって合否が決まります。
また、資格試験(英検や漢検など)であれば合格ラインはある程度決まっていますが、競争試験の場合は、採用人数や受験者数によって変動するのです。


そのため、どの程度の点数を目指せばよいかが判断しにくく、努力がそのまま結果につながらない、という難しさがあります。
試験科目が多いから
海上保安学校の試験科目(基礎能力試験)は5分野21科目あります。
分野 | 科目 |
---|---|
数的処理 | 数的推理|判断推理|空間把握|資料解釈 |
文章理解 | 現代文|英文|古文 |
社会科学 | 政治|経済|社会|倫理 |
人文科学 | 日本史|世界史|地理|国語|英語 |
自然科学 | 数学|物理|化学|生物|地学 |
高校・大学入試の約3倍の科目数なので、対策には相当な時間が必要です。そのため、受験者にとっては大変な試験の一つと言えるでしょう。
問題レベルは、中学校から高校までに学んだことのある内容ばかりですが、それをもう一回勉強しないといけないので簡単ではありません。
やみくもに勉強を始めるのではなく、出題傾向を理解して効率よく勉強することがポイントです。
頭がいいだけでは合格できない
海上保安学校では、知識や学力だけでなく、海上保安官・社会人としての適性・資質や人間性(コミュニケーション能力)も評価されます。
つまり、単純な学力だけでなく、多角的な能力が求められることになります。
これまでの入学試験や資格試験では、知識を詰め込んでいれば合格できたものが、海上保安学校では、能力を総合的に評価されるため、単に知識を詰め込んでいるだけでは合格できないのです。
最終合格者の決定方法
第1次試験合格者のうち、作文試験、身体検査、身体測定及び体力検査に合格し、かつ人物試験においてA~Cの評価である者について、第1次試験を含む全ての試験種目の標準点を合計した得点に基づいて最終合格者を決定します。
2023年度海上保安学校学生採用試験の合格者の決定方法
つまり、どれだけ筆記試験の点数が高くても、作文や面接で一定の評価を得られないと最終合格に至らない可能性があるということ。
何かの試験に偏った対策をするのではなく、どの試験科目もバランスよく対策しましょう。
海上保安学校の合格に向けた対策のコツ
海上保安学校学生採用試験に合格するには、しっかりとした対策が必要です。
これから対策を始めるためのコツを4つ紹介します。
スキマ時間を有効活用する
始めにこれを伝えておかなければいけません。
公務員試験でとにかく大切なことは、『時間は無限ではない』ということです。
じゃあ具体的にどうやって時間を捻出するの?というと、『スキマ時間を有効活用する』という結論に達します。
- 通学時間
- 学校での休み時間
- 食事の前後
- 入浴時間
- 寝る前の10分間 など
全てを使うのは難しくても、自分の生活スタイルに合わせてこの中のいくつかを取り入れるだけでも十分スキマ時間を活用できますよ。
これが1日の中で3回(朝、昼、夜)繰り返されるだけで、年間365時間も勉強できることになりますよね。
最終合格までに必要な勉強時間は400~500時間なので、スキマ時間だけでも6~7割ぐらいの勉強ができてしまうのです。
基礎能力試験は効率よく勉強する
数ある試験の中でも、基礎能力試験は厄介な試験科目の一つです。
5分野21科目から出題があり、範囲も広いため、やみくもに勉強を進めると相当な時間がかかってしまいます。



僕自身、最初から最後まで勉強して大変なことになりましたからね…。
まずは、各科目の出題傾向を理解し、必要な科目から重点的に勉強することがポイントです。
具体的な科目や出題傾向については、こちらの記事で詳しく解説しています。


作文対策を後回しにしない
作文は、公務員として必要とされる表現力や思考力を評価するもので、最終合格するには対策が必要です。
作文試験の対策は、過去問題に取り組むことが一番効果的。また、日常的に読書をすることで、語彙力を増やしたり、表現力を高めたりすることもできます。
まずはこちらの記事で過去のテーマや傾向を把握してから準備を始めましょう。


早めに面接対策の準備を始める
口述試験(個別面接)では、海上保安官になりたい志望動機や過去の経験、今後のキャリアプランなど、あなたに関する質問が多く問われます。
対策としては、まずは自己分析を行い、自分の長所や短所を把握することが重要です。仕事内容を調べたり、模擬面接を受けて話し方や表現力を確認したりと、面接対策は、とにかくやることが多いんですよね。
また、繰り返しになりますが、最終合格するには面接試験の結果が必要です。なので、筆記試験の勉強だけやっていても合格できません。
面接力をある程度のレベルにもっていくには時間がかかるので、早めに準備を始めることがポイントです。
なお、面接試験の傾向や質問内容はこちらで詳しくまとめています。ぜひ、参考にしてください。


以上のように、海上保安学校・大学校に合格するためには、効率的な勉強方法を取り入れると同時に、作文や面接にも時間をかけて取り組むことが大切です。
海上保安学校に入りたいなら戦略が大切!
難易度だけで考えれば、海上保安学校に入ることはそんなに難しくないです。
試験問題は中学〜高校レベルですし、倍率も3倍程度ですからね。
しかし、単純に筆記試験の点数を取れば合格できるものではなく、面接・作文などによる人間性が最重視されるため、努力がそのまま結果に結びつかない難しさがあるんですよね。
適当に勉強を進めるのではなく、試験内容や傾向ををきちん理解してから効率よく行うことが大切です。
本サイトでは、海上保安学校攻略に必要な情報を多く配信しています。
ぜひ、参考にして対策を始めてくださいね。