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将来は海上保安官になりたいです。どうやったらなれますか?海上保安学校・大学校の難易度や対策ポイントを教えてほしいです。
こんな悩みを解決します。
- 海上保安官になるには?採用試験の概要を解説
- 海上保安学校・大学校の難易度
- 海上保安学校・大学校に受かるコツ
海上の秩序と安全を守る組織「海上保安庁」。
そんな海上保安庁の保安官になるには、以下の試験に合格して海上保安学校や海上保安大学校に入る必要があります。
- 海上保安学校学生採用試験(特別、一般)
- 海上保安大学校学生採用試験(初任科、本科)
入学後1年~4年の専門教育・研修を受けて卒業できれば、海上保安官になれるという感じです。
学歴や年齢によって受験できる試験が異なるので、本記事を参考に試験の仕組みや難易度を理解してみてください。
高卒・大卒で海上保安官になるには?
高卒(大卒)で海上保安官になるには、以下の方法があります。
- 高校を卒業→海上保安大学校→海上保安官(幹部)
- 高校を卒業→大学に進学・卒業→海上保安大学校→海上保安官(幹部)
- 高校を卒業→海上保安学校→海上保安官
- 高校を卒業→大学(短大、専門学校)に進学・卒業→海上保安学校→海上保安官


海上保安学校 | 海上保安庁の各分野における専門職員を養成する教育機関です。採用試験は、5つの課程(船舶、航空、管制、情報、海洋科学)から1つを選択して受験します。卒業後は、巡視船艇の乗組員等として、日本全国に配属され、希望と適性に応じ、潜水士や国際取締官といった各分野のエキスパートとして進むことも可能です。また、業務経験と選抜試験により、海上保安大学校での研修を経て、幹部へ登用される道も開かれています。 |
海上保安大学校 | 幹部海上保安官として、複雑化・国際化している海上保安業務に対応するために必要な高度な専門能力を身につけるとともに、航海、機関、情報通信の各専攻に分かれ、海技免状を取得するために必要な海事系の専門的な知識を習得します。 |
海上保安官の幹部を目指すなら大学校へ、専門的な海上保安官を目指すなら海上保安学校へ進学する必要があります。
海上保安学校・大学校学生採用試験の概要
海上保安学校、海上保安大学校学生採用試験の概要をそれぞれ紹介します。
※2023年度の情報です。
受験資格(年齢制限)
海上保安学校 (特別) | 2023年4月1日において高等学校又は中等教育学校を卒業した日の翌日から起算して13年を経過していない者及び2023年9月までに卒業する見込みの者。 |
海上保安学校 | 2023年4月1日において高等学校又は中等教育学校を卒業した日の翌日から起算して12年を経過していない者及び2024年3月までに卒業する見込みの者。 |
海上保安大学校 (初任科) | 1993年4月2日以降に生まれた者で、大学を卒業した者(卒業見込みを含む)。 |
海上保安大学校 (本科) | 2023年4月1日において高等学校又は中等教育学校を卒業した日の翌日から起算して2年を経過していない者及び2024年3月までに卒業する見込みの者。 |
試験日程
区分 | 一次試験日 |
---|---|
海上保安学校 (特別) | 2023年5月14日(日) |
海上保安学校 | 2023年9月24日(日) |
海上保安大学校 (初任科) | 2023年6月4日(日) |
海上保安大学校 (本科) | 1日目:2023年10月28日(土) 2日目:2023年10月29日(日) |
出願期間や合格発表日などの詳細は2023年海上保安学校・大学校の試験日はいつ?出願から合格発表日までの流れを参考にしてください。
試験内容(種目)
海上保安学校・大学校学生採用試験は、海上保安官になるための就職試験です。そのため、筆記試験だけでなく、人物試験も実施されます。
試験種目 | 海上保安大学校 (初任科) | 海上保安学校 (特別) | 海上保安学校 | 海上保安大学校 (本科) |
---|---|---|---|---|
基礎能力試験 (レベル) | 大卒程度 | 高卒程度 | 高卒程度 | 高卒程度 |
学科試験 | 船舶除く | |||
課題論文 | ||||
作文試験 | ||||
口述試験 | ||||
身体検査 | ||||
身体測定 | ||||
体力検査 |
筆記試験のみで良い点数を取っても、口述試験や論作文試験で評価を得られなければ合格できません。試験内容や傾向を把握し、効率よく対策することが重要です。
詳しい試験内容は海上保安学校・大学校の試験内容は?一次・二次試験の内容と傾向を完全解説を参考にしてください。
実施状況(合格率)
2022年度の実施状況(合格率)は、以下のとおりです。
試験種 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
海上保安学校 (特別) | 5,344 | 1,026 | 19.2% |
海上保安学校 | 2,175 | 647 | 29.7% |
海上保安大学校 (初任科) | 289 | 63 | 21.8% |
海上保安大学校 (本科) | 321 | 85 | 26.4% |
海上保安学校・大学校は、全国から受験者が集まるため合格率は低めです。しかし、数年前に比べると、最近は上昇傾向にあります。
過去の実施状況や課程別の合格率は【2022年】海上保安学校の倍率ってどれくらい?合格への近道でまとめています。
海上保安学校・大学校学生採用試験の難易度
結論からいうと、海上保安学校・大学校の難易度は高くありません。
しかし、単純に筆記試験の点数を取れば合格できるものではなく、面接・作文などによる人間性が最重視されるため、努力がそのまま結果に結びつかない難しさがあるんですよね。
試験問題は中学〜高校1年レベル
海上保安学校・大学校の問題は、あなたが今までに学んだ内容から出題されます。なので、高校までにきちんと勉強してきた人からすれば、それほど難しいわけではありません。
たとえば、次はメイン科目の一つである数的推理の問題です。
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「速さ」という単元で、中学校1年生で学習する内容。算数、数学が苦手な人は悩むかもしれませんが、少し勉強すれば思い出すのではないでしょうか。
たまに大学入試レベルの問題も出ていますが、多くは中学〜高校入試レベルの問題です。
試験科目が多いので対策は難しい
海上保安学校・大学校の試験科目は17~19科目もあります。
分野 | 科目 |
---|---|
数的処理 | 数的推理|判断推理|空間把握|資料解釈 |
文章理解 | 現代文|英文 |
社会科学 | 政治|経済|社会|倫理 |
人文科学 | 日本史|世界史|地理 |
自然科学 | 物理|化学|生物 |
高校・大学受験でも5~7科目くらいですからね…軽く3倍はあるのです。
中学校から高校までに一度は学んだことのある科目ばかりだと思いますが、それをもう一回勉強しないといけないので…正直、キツイですね。
海上保安学校の試験科目は以下の記事で詳しく解説しています。


多角的な能力が求められる
賢い(頭がいい)だけでは海上保安官になれません。
あなたがこれまでに経験してきた入学試験(高校・大学入試)や資格試験では、単純な学力だけが問われ、知識を詰め込んでいれば合格が狙えました。
しかし、面接や作文、体力検査など、筆記試験以外の試験項目が多く、多角的な能力が最終合格には必要なんですよ。
》海上保安学校・大学校の試験内容はこちら。



単純に筆記の点数だけでは合格できないので、努力がそのまま結果に結びつかない難しさがあるんですよね。
最終合格に必要な勉強時間は平均600時間
合格するために必要な勉強時間は過去のデータから500時間~600時間ほど。1日2時間の勉強を約1年間続けるようなものです。
合格目標「600時間」の勉強計画例
1日の勉強時間 | 600時間に到達するまでの日数(○ヶ月) |
---|---|
2時間 | 300日(約10ヶ月) |
3時間 | 200日(約7ヶ月) |
4時間 | 150日(約5ヶ月) |
もちろん勉強量(時間)も大切ですが、効率的に学習する方法や時間配分、モチベーション維持なども重要な要素となるため、バランスの取れた勉強計画を立てることが重要です。
なお、対策で一番時間のかかる基礎能力試験の効率的な勉強方法は以下の記事を参考にしてください。


モチベーション維持が最大の壁
実際、合格を目指して勉強を始める人は多いですが、途中で挫折する人も相当多いです。100人いて30〜50人ぐらい、半分はいなくなります。
モチベーションを長期間保ちながら筆記対策も面接対策もする必要があるため、相当な覚悟が求められます。
想像してみてください、周囲が遊んでいる中で自分だけ勉強漬けの毎日、飲み会や合コンの誘いをシャットアウトしながら勉強に集中して高いパフォーマンスを維持しなければならないのです。
同じ志をもつ仲間を集めたり、合格後の姿を想像したりしてモチベーション維持を図ることが大事!



続いて、これから対策を始めるうえで大切な試験概要や傾向を紹介します。
海上保安学校・大学校学生採用試験に合格するための対策ポイント
海上保安官採用試験(学校・大学校含む)に合格るには、以下の基準を満たすことがポイントです。
基礎能力試験で6割をとる
一次試験の合格者は、下記試験の合計点(標準点)で決定します。
海上保安大学校 (初任科) | 基礎能力試験+課題論文 |
海上保安学校 (特別) | 基礎能力試験 |
海上保安学校 | 船舶課程:基礎能力試験 その他:基礎能力試験+学科試験 |
海上保安大学校 (本科) | 基礎能力試験+学科試験 |
中でも基礎能力試験で点数を取ることが大事です。試験科目の多さからわかるように、点が取れるまで時間がかかります。差もつきやすいです。
とはいえ、どの試験区分もボーダーラインは低く、過去のデータから20点~22点(40点満点)の得点があれば合格できています。
なので、手を広げて高得点を目指すよりも安定して6割の点数を取れるように準備しておくことがポイント。
なお、海上保安学校のボーダーライン(合格点)は以下の記事でまとめています。


課題論文・作文で平均以上をとる
高得点はいりません。平均点を超えるくらいでちょうどいいです。
というのも、課題論文・作文は難しいので、受験者の間で差があまりつきません。



点数のバラつきを表すデータ=標準偏差は1.652です。
(2022年度海上保安官採用試験の場合)
つまり、ほとんどの受験者が平均点あたりに分布しているのです。逆にいえば高得点(低得点)を取っている人も少ない。
なので、はりきって勉強するよりも感覚をつかむ程度に押さえておくといいです。
海上保安学校の作文試験の攻略法は以下の記事を参考にしてください。


面接試験でC評価以上
最終合格するには、以下2つの条件を全て満たす必要があります。
- 体力検査・身体検査・身体測定に合格
- 面接試験においてA~C評価(5段階)
そして1~2を満たした者について、一次試験を含む合計点に基づいて最終合格者を決定します。なので、筆記試験(基礎能力試験)の勉強だけやっていても合格できません。それなりに面接練習もする必要があるのです。
配点だけをみれば一番高い基礎能力試験や学科試験に時間を使うべきです。しかし、どれだけ点数が高くても面接で一定の評価を得られないと合格できません。
面接試験で評価を得るには準備が必要です。長所短所を考えたり、志望動機を考えたり…と、かなり時間がかかりますよ。
使える時間は限られているので、以下の記事を参考にして早めに面接対策もやってくださいね。


まとめ|海上保安官(学校・大学校)は難しいけどやり方次第で合格可能
本記事では、海上保安官になる方法と採用試験の難易度、受かるためのコツを解説しました。
海上保安官になるには、まず採用試験に合格すること、そしてその後、海上保安学校・大学校で専門教育や研修を受けることが必要です。
海上保安学校・大学校学生採用試験の難易度は決して高くはありません。
試験問題は中学〜高校レベルですし、5割の点数が取れればパスできるからです。
しかし、試験科目が多く、面接や作文などの総合力を問われるため、広範囲にわたる勉強が必要。なので、簡単に合格できるような試験ではありません。
適当に勉強を進めるのではなく、試験内容や傾向把握をきちんと行うことが大切です。
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